2014年6月に開催されたシンポジウム「監視の”今”を考える」にインターネット出演したEdward Snowden:エドワード・スノーデンのインタビュー等が掲載された
『スノーデン 日本への警告』を読了。
エドワード・スノーデンのインタヴュー部分に関しては、中間記↓で取り上げたので、
今回は同シンポジウムに登壇したベン・ワイズナー(エドワード・スノーデンの法律アドバイザー)、マリコ・ヒロセ(ニューヨーク人権協会)、宮下紘中央大学総合政策学部准教授、青木理さん(ジャーナリスト)によるパネルディスカッションで印象に残った箇所の抜粋。
監視社会の現実
1. 格段に監視が容易になった
” スノーデン氏は今回のリークの中心的なメッセージについてわかりやすく話してくれました。
最も重要なことは、以前は極めて高価であった監視が、今や大変安価になったことを明らかにしたことだと思います。”(p103)
2. 日本も例外ではない
” (井桁)実際にアメリカ政府は日本人同士の日本語のメールや電話であっても傍受していたのでしょうか。本当に内容を読まれていたのでしょうか。*井桁さん=進行役と思われます
(ワイズナー)そうです。それがNSAの仕事です。
アメリカ市民であれば、NSAによる監視に対して一定の保護が与えられます。アメリカ市民でない場合、何の保護もありません。 *NSA=アメリカ国家安全保障局
・・中略・・
各国で法律上の制限の有無に違いがあるわけではありません。アメリカの特殊性はその能力にあります。
インターネットの仕組み上、情報の大部分はアメリカ本土を通り、アメリカ企業を経由するので、アメリカ政府は、日本やほかの国よりもはるかに多くの情報を傍受することができるのです。
アメリカ政府の特殊性はこの点だけで、外国人にとってこうした監視に対抗するための法的保護が存在しないことについてはどの国でも同じです。”(p105-106)
3. メタデータは嘘つかない
” スノーデン氏の話にもあった通り、メタデータとは、電話で話した内容に関する情報ではありません。
私たちが会話したという事実、通話の目的、通話時間、通話時の場所などがメタデータです。これは私たちの交際関係のすべてです。
メタデータは嘘をつきません。メタデータは真実だけを語ります。
政府に電話を盗聴されている時、私たちは器用に会話の内容を隠すことができます。メタデータについてはできません。”(p108-109)
これらの現実に対して示された解決策が・・
” 自由な社会がこれまでに生み出した唯一の有用な解決策は、独立したメディアです。
自由な社会であれ権威主義的な社会であれ、政府は自らに都合の悪い情報を隠蔽する傾向があります。
情報を公開すると困ったことになったり、説明責任を問われたりするので、情報を隠す傾向にあるのです。
これは官僚が悪者だからというわけではありません。それが人間の性です。
ここにこそメディアの役割があります。政府による情報の管理に対抗し、適切な形で情報を市民に伝えるという役割です。
・・中略・・
メディアは何が公益に資するかに関する専門家です。政府の利益と市民の知る権利のバランスを図るのに最も適した人たちです。”(p142)
スノーデンから突きつけられた問題提起に対して・・
本書の読書に先行して参加したトークセッションで
示された(世界の)報道の自由度ランキングで日本が72位と低位に甘んじていることは、
青木理さんに「平和ボケ」と指摘された日本国民とともに由々しき事態ですが、
この二週間で私個人、プライバシーの問題に関して大いに考えさせられる期間となりました。