夏の参議院議員選挙で当選され、それまでは独立総合研究所を創設され、キャリアで築かれた独自のネットワークを駆使し、
報道機関等を通じて舌鋒鋭く、シャープな情報を提供されていた青山繁晴さんの『アメリカ・ザ・ゲンバ』を読み始め、
全部で十一章あるうちの第四章まで読み終えたので、そこまでのおさらい。
アメリカ人のメンタリティ、アメリカたる由縁
来月に予定されている講演会参加のために購入した書籍でしたが、
内容についてよく承知しておらず、本を開き、本書が出版社の社長から・・
” 「世界政府アメリカの『嘘』と『正義』は(中略)アメリカが分かる一冊を書いて欲しい」”
と口説かれ、上梓された作品と理解。
ただ、十三年前に出版された『世界政府アメリカの「嘘」と正義』の新書版と知り、「失敗したかな、、」と思ったものの
例えば、かつてアメリカの大統領選挙で、ジョージ・W・ブッシュ候補が、当時のアル・ゴア副大統領を下した勝因を
” アメリカだけじゃない。日本でもヨーロッパでも国民に経済的繁栄、好景気をもたらした政権は、必ず選挙に勝つ。
逆に、経済政策に問題がありそうだと、必ず負ける。
ブッシュ現大統領のお父さんのブッシュ元大統領は、一九九一年の湾岸戦争に圧勝し
「ベトナム戦争に負けたアメリカ人の深いついに癒した」と国内で絶賛され九割を大きく超える空前の支持率を獲得したが、
経済に陰りが出ただけで、大統領選でクリントン候補に完敗したのだ。だからゴアが負けるはずはなかった。
ブッシュ候補は、たしかに顔はお猿さんに似ているが、ゴアは伝統的な男前である。
ブッシュは外交上の焦点になっていた国の首相の名前も言えなかったが、ゴアはキャピトル・ヒル(アメリカ議会)きっての知性派だ。
ブッシュはアルコール中毒の過去があると言われたり、テキサスの中小石油業者との黒い癒着がかねてから指摘されていたが、
ゴアは品行方正、カネも含めてスキャンダルは少なかった。ゴアが勝つのは当たり前、歴史的な大勝、地滑り的な完全勝利が予測された。
マスメディアも、ゴア勝利を明らかに確信した報道一色だった。
ところがアメリカの有権者、ふつうのアメリカ人たちの判断は、ゴアの勝利ムードにもマスメディアの大合唱にも惑わされず、
およそ半分が猿顔のブッシュ候補に投票したのである。ゴア副大統領は、接戦となった段階で、すでに敗北だったのだ。
・・中略・・
ではなぜ、紙一重もないような接戦にもつれこんだのだろうか。
・・中略・・
わたしは、答えはただ一つしかないと考えている。
それは『アメリカ国民は、ブッシュをリスク(危険性)を独りで引き受ける男だと見抜き、ゴアは他人のせいにしかねない男だと感じた』ことだ。
みなさん、大統領に就任したブッシュという男が、問題や失敗を人のせいにするのを見たことがありますか?
スペースシャトル「コロンビア」号が空中分解したのも、サダム・フセインが独裁政権を維持しているのも、
北朝鮮が核を保有しているのも全部、俺の責任だ、だから俺がなんとかする!
ブッシュはこう思い、こう演説し、良かれ悪しかれ、こう行動している。
ブッシュは、なにがなくとも、絶対にリスクから逃げない問いう強烈なリーダーの資質だけは持っている。
ゴアにはそれだけが無い。
そして、全部のリスクを自分一人で引き受ける人間こそ、ハイパー超大国アメリカが必要としているトップなのだ。”(p48-52)
と分析。
日本人からアメリカの本質に迫る一冊
内容に色褪せた部分を感じさせることなく、青山繁晴さんならではの独自で説得力を感じる語り口(一文)に
本書のテーマであるアメリカ(アメリカ人)のメンタリティを理解するためのエッセンスが散りばめられているように感じ、
ページをめくり、本を読み進めていく作業が興味深くなっています。
青山繁晴さんの著書は
夏に読んだ『壊れた地球儀の直し方』(493ページ)以来、2冊目。
本書も270ページに及ぶ力作ですが、残り七章(166ページ)も目から鱗な学びを期待しながら読了後、改めて取り上げたいと思います。