独立総合研究所創設者で現参議院議員の青山繁晴さんの新刊『ぼくらの哲学』を読了.-
先日参加したイベント↓の際、
「今度、出ますからね」との青山繁晴さんの発言を覚えていて、発売を楽しみにしていたもの。
『月刊 WiLL』で連載の「澄哲録」がタイトルを付され、一冊の本として刊行されたもので、
全部で十五章あるうち九章はタイトルに「沖縄」が冠され、
” 那覇市に聳え立つ県庁はもはや沖縄県民の県庁ではない。言いにくくても言わなければならない、中国の野望の拠点からのようになりつつある。”(p218)
” 中国共産党と人民解放軍の仕掛ける銃火なき戦争、すなわち「参戦」(世論戦、心理戦、法律戦)が複雑な顔を持っていることを知らなければならない。
恐るべきことに、日本を愛するという仮面すら用いているのだ。そこから単独(孤立)防衛論や反米愛国主義という引き出しを日本の世論の深部に作り、
米軍という難敵を日本から引き剥がす工作を日々、続けている。”(p224)
といった衝撃の指摘のもと、日ごろニュース等で取り上げられる沖縄問題の背景、深層に切り込まれ、注力されています。
白梅の塔、行幸啓を巡る暗闘と起きた奇跡
本書でもさまざま学びを得られましたが、もっとも印象的であった箇所を引用すると、
青山繁晴さんが当時の羽生田宮内庁長官に
” 羽生田長官に会う理由はただひとつ、「今上陛下と皇后陛下におかれては、沖縄の白梅の塔に行幸啓をなさいますよう、長官からご進言を願いたい」ということだった。”(p158)
という経緯から日程に組み込まれたものの、巧妙に沖縄県庁内の妨害に遭い、
(本では詳細に記されていますが)紆余曲折を経て、
” 臨時に、ご休憩なさる場所を作りましょう。沖縄の南部戦跡の平和祈念堂の一室です。
そこに生き残りの方に行っていただいて、短い時間ではあってもお会いいただくことで、どうでしょうか。”(p195)
というところまで巻き返し、迎えた当日、予定されたことを終え、宮内庁の侍従が参加者の退去を促された際、
” 皇后陛下が一歩、きくさんたちに近づかれた。「白梅の塔は、どちらの方角ですか?」首をわずかに傾げられ、そうお尋ねになった。
あまりに自然なお声に、きくさん(註:白梅同窓会長 中山きくさん)は緊張することもなく慌てることもなく、こちらですと、正確な方角をお示しした。
すると両陛下は、まるで事前に入念なお打ち合わせを二人でなさっていたかのように、揃ってその方角に向かれ、深々と、永遠のように長く、頭を下げられた。
きくさんたち白梅同窓会のみなさんは「学徒隊がみな報われた」と感じ、心残りなく退出することができたという。”(p212-213)
と、引用は紹介されてエピソードの断片に過ぎないですが、通しで読むと、舞台裏で繰り広げられた暗闘に感じられる根深さに、
感動的な両陛下のお心づかいに、いろいろと考えを及ばされました。
なお、「白梅の塔」に関しては下記の音声(静止画)↓で、青山繁晴さんが説明されています。
青山繁晴 沖縄 白梅の塔で想うこと。
理解と現実の狭間で・・
青山繁晴さんの著書は、8月に読了した青山繁晴さんが「驚くほど読まれた」と言われていた『壊れた地球儀の直し方』以来、
本作(『ぼくらの哲学』)で5冊目となりますが、そうであろうとは理解していたものの
学生時代に学んでいた日本史、TV等で感じる/分かっていたつもりであった現実、国際情勢とは実態を大きく異にし、
知れば知るほど、著書を読めば読むほどに知的好奇心を刺激されるとともに、襟を正されるような思いに至らされます・・