みうらじゅんさんが明かす「一人電通」でブームを起こす極意:『「ない仕事」の作り方』中間記

みうらじゅんさんの著書『「ない仕事」の作り方』、4章あるうちの2章を読み終えたので、そこまでのまとめ。

みうらじゅんさんとの出会いは、かつてチャーリー浜さんとやっておられた深夜番組「東京なにわ倶楽部」以来、

当初、凄くハマって、今でもその名残で、家にみうらじゅんさんデザインのオブジェが鎮座しているという距離感 ^^

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うしがえる@自宅.-

そんなんで本も数冊読んでいる筈ですが、本書はみうらじゅんさんの強みであるマニアックな世界そのものにスポットライトを当てたものではなく

その数々の仕掛けの裏側を明かしたもので、読者層が格段に広がり、「道理で話題になるわけだな」と。

みうらじゅんの仕事

まず、みうらじゅんさんが「まえがき」で

” 私の仕事をざっくり説明すると、ジャンルとして成立していないものや大きな分類はあるけれどまだ区分けされていないものに目をつけて、ひとひねりして新しい名前をつけて、いろいろ仕掛けて世の中に届けることです。”(1%/百分率は電子書籍のページ数、以下同様)

と、ご自身の仕事を定義され、読んだ人にこの方法の再現性が提示されているのが、本書独自の価値となっています。

例えば代表例として「ゆるキャラ」が上げられ

” ここ数年ブームが続いている「ゆるキャラ」も、私が名づけてカテゴリー分けをするまでは、そもそも「ない」ものでした。

元々は、各地方自治体や団体が独自に作っていた単なる「着ぐるみ」だったものが「ゆるキャラ」となった今、

もう私の手など及ばないほどの一大産業となりました。”(1%)

と、それまで

“「ゆるキャラ」の存在が気になりだしたのは、20年ほど前、全国各地の物産展に赴いたときです。

その土地の名産品が並び、多くの客がひしめく中、それはとても所在なさげに立っていました。

妙な「着ぐるみ」です。当時は「マスコット」という呼び方が一般的でした。”(7%)

ブームを起こす仕事術「一人電通」

「あぁ、そういえばマスコットなんて呼ばれていたなぁ」ってな存在に、みうらじゅんさん独自のセンスで「ゆるキャラ」として息吹を与え、

そこから本書のメインテーマでもある、みうらじゅんさんが「一人電通」を称する手法、それは

” それまで私は、自分が「これは面白い!」と思ったものやことがらに目をつけ、原稿を書いたり、発言したりしてきましたが、

世の中の話題にならないことのほうが多かったことは確かです。

そこで、「だったら流行るかどうかをただ待つのではなく、こちらから仕掛けていこう」という発想に至りました。

・・中略・・

私が「仕掛け」をするのは、本当に好きになったものだけなのです。そして、その「本当に好きで、まだ皆が知らない面白いこと」を世界に届けたい。

そのためには「ブーム」を起こすことが必要なんです。ブームにならないと、誰も見てくれませんから。

「マイブーム」を広げるために行っている戦略を、私は「一人電通」と呼んでいます。

電通とは日本を代表する広告代理店ですが、そこで行なわれていることを、全部一人でやってしまおうという意味です(中略)。

ネタを考えるのも自分。ネーミングするのも自分。デザインや見せ方を考えるのも自分。

雑誌やテレビやイベントなどで、それを発表するのも自分。さらに、そのために編集者やイベンターを「接待」し、

なるべくネタがよく見えるように、多くの人の目に触れるようにしていくのも自分。

クリエイティブだけでなく、戦略も営業もすべて一人で行うわけです。”(2%)

この出発点から、みうらじゅんさんがブームを起こすべく手順に、その裏側の考え方に、

みうらじゅんさんだからこその濃密な世界観が作られていく背景が明かされています。

人を巻き込むには、まずは己から

その一端を抜粋すると、物産展などで見かけるマスコットたちを「ゆるキャラ」と名付けてから・・

” 私だって「今、ゆるキャラが面白いよ」と一言言ってそれがブームになるのであれば、それに越したことはありません。

しかし当然ですが、その程度では人は興味を持ってくれません。

人に興味を持ってもらうためには、まず自分が、「絶対にゆるキャラのブームがくる」と強く思い込まなければなりません。

「これだけ面白いものが、流行らないわけがない」と、自分を洗脳していくのです。

他人を洗脳するのも難しいですが、自分を洗脳するのはもっと難しいものです。

なぜなら相手は手の内をいちばんよく知っている「自分」だからです。

そこで必要になってくるのが、無駄な努力です。興味の対象となるものを、大量に集め始めます。

好きだから買うのではなく、買って圧倒的な量が集まってきたから好きになるという戦略です。

人は「大量なもの」に弱い問うことが、長年の経験でわかってきました。大量に集まったものを目の前に出されると、

こちらのエレクトしている気分が伝わって、「すごい!」と錯覚するのです。”(10%)

そこには先駆者なりの覚悟も求められ・・

” あらかじめひとつお断りしておくと、すべての「ない仕事」に共通しているのは、最初に怪訝に思われたり、当事者に嫌がられたり、怒られたりすることもあるということです。

私だって大人になって怒られたくはないですし、むしろいっぱい褒められたいと思っているにもかかわらずです。

しかし「それでも自分は好きなんだ」という熱意を失わなければ、最終的には相手にも、お客さんにも喜んでもらえるものになります。”(17%)

みうらじゅん著『「ない仕事」の作り方』仕事に悩み、迷った人へのメッセージ

ブームの舞台裏

昨今、見直しの機運があるかの「接待」に関しても一家言披露されており、

” 私はお酒の席にもよく編集者を誘います。才能があって接待がない作家と、才能はそこそこだけど接待がある作家。

私はもちろん後者で、しかも「一人電通」の営業マンも兼ねています。さて、編集者がどちらを選ぶのか?

酒を酌み交わせば、おのずと距離も近くなるというもの。そのとき編集者と作家は同胞である、友達であるという意識が初めて芽生えます。同じ仕事をするならそうしないと楽しくない。”(49%)

” 最近の若い人は、飲み会や接待を嫌うと聞きますが、もったいないと思います。ずばぬけた仕事の才能の持ち主なんて、世の中にそうたくさんいません。

同じ仕事のスキルを持っている人が二人いたら、「接待力」のある人のほうが断然有利です。

「接待力」は鍛えれば身につけることができます。「習う」より「慣れろ」です。

「接待力」が身につくと、仕事の「営業トーク」も上手くなるでしょうし、職場も明るくなるし、楽しく仕事ができるようになるはずです。”(51%)

また、営業、展開の仕方に関しても

” 私は仕事をする際、「大人数に受けよう」という気持ちでは動いていません。

それどころか、「この雑誌の連載は、その後輩が笑ってくれるように書こう」「このイベントはいつもきてくれるあのファンにウケたい」と、ほぼ近しい一人や二人に向けてやっています。

あるいは、その原稿や絵を最初に受け取る編集者を笑わせたいだけで書いていると言っても過言ではありません。

知らない大多数の人に向けて仕事をするのは、無理です。顔が見えない人に向けては何も発信できないし、発信してみたところで、きっと伝えたいことがぼやけてしまいます。”(44%)

と情報発信に関する奥義(的なこと)が書かれていて興味深かったです。

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ブームの仕掛け人の頭のなか

ブームが起きるメカニズムについては、本書で割かれている十二分な記載に譲りますが、

みうらじゅんさんのブームを起こす考え方、マインドセットが私にとって、より興味深かったことから、今回、焦点を当ててみました。

数日内で読了の見込みですので、また改めて、その時点で学びをシェアしたいと思います。

 


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