近場の予定を済ませ、このところしばしば訪れている八重洲ブックセンターに立ち寄れば
作家の家田荘子さんのトークイベントが今宵開催と。
詳細を目をやると、広島県を地場にデリヘル業を展開されている長谷川華さんとの対談で、
テーマが「貧困女性を、誰が救ってくれるのか?」とのことで、「ちょっと違うかな〜」と感じたものの
時間はあるし、「こういう機会でもないと聞けぬ話しであろう」と参加してみることに。
家田荘子さんは、お名前は長く知っていて、映画化もされた『極道の妻たち』であったり、
エイズ患者を体当たり取材した『私を抱いてそしてキスして エイズ患者と過した一年の壮絶記録』であったり、
また、その昔、明石家さんまさんの「さんまのまんま」にも出演された回を(確か)視聴していたような・・
知られざる介護の現場
イベントの序盤は、家田荘子さんがお一人で講演される形で、今まで一貫して光の当たっていないところ、人を取材対象としてきて
イベントの対象書籍『昼、介護職。夜、デリヘル嬢』も、その姿勢に基づいて上梓されたもので、
低賃金の割りに、精神的な負荷が大きく、要介護認定者が620万人いるのに、介護士の方は現状171万人不足。
今は4人に1人が65歳以上であるが、やがて、その割合が3人に1人となり、介護士不足が喫緊の課題となっている。
と、ここまでは世間でも共有されている事柄と思いますが、本トークイベントでは、
3K(:汚ない、きつい、危険)と称される職場で、そもそも募集をかけても引き受け手がなく、
また、応募があり、適性が感じられなくても、雇わざるを得ない状況。
一旦、雇用すると職務遂行に不安があってもなかなか離職を促すことが難しく、その間に問題が起こってしまうなど、一つ一つ明かされた現実が重苦しさを伴って参加者に伝わってきます。
また、本のタイトルに絡めると、低賃金であるため、W(ダブル)ワークを余儀なくされる介護士が多く、
昼の介護職の勤務を終え、夜はコンビニエンスストアであったり、風俗業で働く人も珍しくない。お金に問題がなくても、将来に対する不安から風俗業界に飛び込んでくる人も多いとか。
また、介護の仕事でも一般的に要介護者が「性欲はない」として扱われてしまうが、実際、そのようなことはなく、表現であったり、体に触られたり等のセクハラが、珍しくないとのこと。
イベント中盤から長谷川華さんが登壇され、デリヘルに応募してくる女性の背景やお仕事の実態など、約1時間を通じて現実が深掘りされていきました。
なお、長谷川華さんが強調されていたことで、女性が風俗業に携わっているからといって、好奇の眼差しで見つめるようなことはしないで欲しく、ごく普通の感覚を持った女性が殆どであるとのお話しでした。
誰しも他人事として捉えられぬ未来
更に、詳しいことは本の記載に譲りたいと思いますが、介護の知られざる生々しい現状を知りにつれ、
自分も時間の経過と共に老いていく宿命には逆らえないので、他人事で聞けぬ内容に目を見開かれさせられました。
対策としては、家田荘子さんのご提言によると「介護大臣」職の創設といった枠組み全般、抜本的な改革が必要なようで
私が今回感じたことは、氷山の一角に過ぎない分量で、このような現状を一人でも多くの人に共有されることが、
一段一段、在るべき状況に向けて物事が善処されていくことになるのだと思いますが、とにかく日頃からこの問題を意識し、国民一人一人が目を向けていかざるを得ないですね、、