フォード・オーストラリア 91年の歴史に幕
” オーストラリア・フォード社は、10月7日朝、アセンブリー・ラインから送り出されてきた乗用車10台を最後にメルボルンとジーロングの工場を閉鎖した。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。
オーストラリアにおける自動車生産停止は数年前から決まっていたが、同社は91年に及ぶオーストラリアでの自動車生産の歴史を閉じた。
同社の600人の社員が失業したが、下請け、部品供給企業などへの波及で失業者は最終的に何千人にもなると予想されている。
また、ホールデン社もアデレードの工場のCruzeモデル生産をこの日で終了し、270人が人員整理の対象になった。
しかし、同社がオーストラリアにおける自動車生産から撤退するのも確実と見られている。
7日午前9時30分、フォード社のブロードメドウズ工場の社員とジーロングのエンジン工場の社員はビデオ・リンクで顔を合わせた。
また、この日の生産車10台は工場社員だけが立ち会いを許された。さらに午前10時30分には工場社員が同工場からの最後の帰宅を始めた。
社員は、「今朝は互いに別れを告げ、抱き合ってキスを交わし、コーヒーで語り合い、最後の生産車の写真を撮った」と語っている。
また、ブロードメドウズ工場に22年間勤めたニック・ドリアさんは、工場の門を後にするなり、涙を流し、「立ち止まってはいられない。もう終わったんだから。新しくやり直すしかない。
自分はディーゼル・メカニックだから仕事口はある。しかし、仲間には読み書きもコンピュータを使うこともできない者も大勢いる。彼らはこれから苦しくなると思う」と語っている。
オーストラリア製造労働組合(AMWU)のデーブ・スミス氏は、「フォード社の労働者は最後まで威厳を保ってきた素晴らしい人達だ。他の業種で働き続けることができればと願っている。
しかし、これほどの大規模な失業がまさしくもっとも悪い時に起きた。失業者を吸収するのに十分な仕事口がないのだから」と語っている。
VIC州だけでも自動車産業閉鎖で6,500人が失業すると予想されている上に、自動車部品企業137社のうち、半数以上が未だに自動車部門から転換できないまま先行きも見えない。”(出典:NICHIGO PRESS)
フォードを含む、オーストラリア国内からの自動車産業の2017年中の撤退は既定路線ですが、
懸念された雇用に関する問題は完全に後追いのようで、規模が大きいだけに今後の推移が気になるところです。