先週、中間記 ↓ をアップロードした
話題の書『<インターネット>の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読了。
12の法則が示されているうち後半は
‘7. SCREENING(コンテンツが増え過ぎてフィルターしないと見つからなくなり)
8. REMIXING(サービス化した従来の産業やコンテンツが自由にリミックスして新しい形となり)
9. INTERACTING(VRのような機能によって高いプレゼンスとインタラクションを実現して効果的に扱えるようになり)*VR:ヴァーチャル・リアリティ
10. TRACKING(そうしたすべてを追跡する機能がサービスを向上させライフログ化を促し)
11. QUESTIONING(問題を解決する以上に新たな良い疑問を生み出し)
12. BEGINING(そしてついにはすべてが統合され彼がホロスと呼ぶ次のデジタル環境(未来の<インターネット>)へと進化していく)
という内容。
その中で印象に残ったのは、7. SCREENING の中で経験の価値に言及された部分に関して。
すべてゼロに向かっていく時代に、唯一コストが増加していること
” 安価なものに溢れた時代には大きな問いが残される ー 本当に価値があるのは何か? ちょっと矛盾するようだが、コモディティに対するわれわれのアテンションには大して価値がない。
われわれのおサルのような原始的な心が乗っ取られているだけだ。潤沢な社会において残された希少性とは、コモディティに由来するものでも、それにフォーカスしたものでもないアテンションだ。
すべてゼロに向かっていく中で、唯一コストが増加しているのは人間の経験だ。ー これはコピーできない。
それ以外のものはすべて、コモディティ化しフィルターをかけられるようになる。
経験の価値は上がり続けている。高級なエンターテインメントは毎年6.5%伸びている。レストランやバーの利用は、2015年だけでも9%伸びた。
一般的なコンサートのチケット価格は、1981年から2012年までの間に400%伸びた。
これはアメリカにおける医療介護についても同じだ。それは1982年から2014年の間に400%伸びた。
アメリカにおけるベビーシッターの価格は時間当たり15ドルだが、これは最低賃金の2倍だ。
アメリカの大都市では両親が夜間に外出するとき、子どもの世話を頼むのに100ドルを払うのは当たり前だ。
身体の経験そのものに個人的な注目を集中して振り向けるパーソナルコーチは、一番成長が著しい仕事だ。
ホスピスでは、薬や治療の価格は下がっているが、在宅訪問といった経験が絡むものは高くなっている。
結婚式のコストは上限がない。それらはコモディティではなく経験なのだ。
われわれはそうしたものに、希少で純粋な注意を向けている。こうした経験をデザインするクリエーターにとって、われわれのアテンションは大いに価値がある。
経験を創造したり消費したりするのに人間が優れているのも偶然ではない。そこにはロボットが出る幕はない。
ロボットがわれわれのいまの仕事を奪ったらいったい何が残るか知りたいなら、経験に注目するといい。
われわれはそれにお金を払うだろうし(それは無料にならないから)、それでお金を稼ぐようになるだろう。
われわれはテクノロジーを使ってコモディティーを作り、自分自身がコモディティーにならないように、経験を生み出すだろう。”(位置No.3917-3943)
「蓋然性の高い未来」を読む
引用箇所の他、
” ポール・ローマーは経済成長理論が専門のニューヨーク大学の経済学者だが、本当の持続的な経済成長は新しい資源から生まれるのではなく、すでに存在する資源を再編成することでその価値が上がり、それで達成されるのだと言う。成長はリミックスから生まれるのだ。”(No.3969/8.REMIXING)
” インターネットは世界で最大最速のトラッキングマシンで、それに触れたものは何でもトラッキングされる。 ・・中略・・ われわれは自分自身をトラッキングし続け、友人をトラッキングし続け、友人や企業や政府もわれわれをトラッキングし続けるだろう。 ・・中略・・ トラッキングを飼い慣らし、市民のために生産的に使う方法を見つけた人々は成功していくだろうが、それを否定して違法にしようと試みる人たちは取り残されていく。”(No.5276、5285/10.TRACKING)
等々、今、我々が生きている時代の現状認識に、蓋然性の高い未来の断片を本書を通じて感じることが出来ますが、
何より印象に残ったのは、最初に引用した「経験」の重要性。
明日も違った切り口から経験の尊さを取り上げてみたいと考えていますが、本書の読書を通じて心得ておきたいことでした。