その独特な世界観から独自の地位を確立されている小説家 筒井康隆さんが、本の帯で「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」と評価、位置付けた『モナドの領域』を昨日読了.-
時を遡ること昨年(2015年)12月、本書のサイン本お渡し会に参加した後、
しばらく積ん読本と化していましたが ^^;
昨今、荻原浩さんの著書 ↓をはじめ
フィクション、小説を読むようになっていた気分的な盛り上がりから、このタイミングと読み始めた次第。
唯一無二、筒井康隆だからsxの世界観
200余のページ数で、章は
ベーカリー
公園
大法廷
神の数学
の4つに分かれ、第2章にあたる「公園」に突入したあたりから
「あぁ、そうだ。この感じ、この感じ」と、本書で確か2冊目の筒井康隆本という初心者ながら
筒井康隆さんだからこその世界観に、一気に惹き込まれていきました。
日常に紛れ込んでくる非日常の異質性/混乱
話しは片腕と片足が見つかった殺人事件に端を発し、そこに神を超越した存在を自認する人物(教授/GOD)が登場。
人の過去、未来を視覚することが出来、現生に生きる人間との異質な交流に、
冒頭に起きた殺人事件との関連、謎解きに・・
というところが大づかみの流れですが、凄みを感じたのは難しくて何だか分からないところもあるのだけれど
なんとなく筋が通っているような、リアリティが伝わってくるかの不思議な感覚。
筒井康隆さんの作品はSF小説とカテゴライズされるようですが、他の作家では味わえないであろう日常に非日常が入り混じってくる異質さが独特の感覚に浸らせてくれます。
遥かなる筒井康隆の世界観
実際書けないにせよ、本を読んだ後「このくらいだったら自分でも書けそうだな」といった錯覚を抱くことがありますが、
筒井康隆さんに関しては、まったくそういった心情を抱く隙なし。
これが作家に求められる力量であれば、目指すことすら夢見ないであろう絶対差。
自分自身の理解度70%前後といった感覚から、100%に及ばなかったもやもやはあるものの
11ヶ月前に開催されたイベントを通じて縁が巡ってきた一冊。やがて私に筒井康隆ブームが訪れそうな圧巻の読書体験でした。