『感じるままに生きなさい ー 山伏の流儀』を読了.-
著者の星野文紘さんの肩書きが「羽黒山伏」とあり、「山伏」に対する好奇心などから本書を購入。
山から学ぶ我々が持っている日本人の精神
本を読む前の状況は「山伏って生業、今でもあるのかー」といった次元ながら
ここ数年、霊や氣など目に見えないものに対する関心を高めている自分としては神秘性も期待していたところでしたが、
” 日本人は、感じたことをいろいろ考えて、自分たちの精神性というものを伝えてきた。桜。さくら。
やまと言葉では、「さ」+「くら」だという。
「さ」というのは、稲魂、田の神、穀霊のこと。つまり、命のもと、食べものだね。米が日本に伝わってきてから、日本人は定住したっていうだろ。
それまでは山、川、海を食べものを求めて移動していた。
「くら」磐座って聞いたことがあるかな。神様がおわす場所、神様をお迎えする坐。
「さ・くら」は、田の神が憑りつく気なんだ。
日本の桜は、南から北へずーっと咲いていくけれど、どこでも、田んぼがはじまる前に咲いていく。
昔の人は魂で感じたよね、これは田の神様が降りてくる木だと。
・・中略・・
いかに、感じたことを考えてやるか。そうすれば、絶対に幸福がつづく。継続はパワーだということ。昔の人は、そうしてきたんだろうね。”(p20-22)
日本人論的な箇所を続けると・・
” 自分が感じたことを考える。それが日本人だ。
昔の人は、ぜんぶそうだったんだと思う。当たり前のことだったんだよ。”(p26)
” 日本でいちばんの祈りは天皇だよ。天皇は、祈りからはじまって祈りで終わる。毎日。とくに朝夕の祈り。
国民を祈りで守るというのが天皇だ。日本で、いちばん神様を感じるのは天皇じゃないかな。たぶん。
私も直接会ったことはないけれど。天皇には神々しさを感じるよね。”(p135)
など、今までにない切り口で、何となく分かる=本質的なことを説かれた思いがして、序盤から読み応えを感じました。
「魂のまにまに」生きる
本の根幹、要点的な部分を拾うと・・
” すべて基本は感じることだよ。感じることからやっていくと、物事はトラブらない。頭を使うからトラブるんだ。
考えるからむずかしくなる。感じるからはじめるとトラブらない。それぞれの魂のまにまにやっていたら、スイスイいくよ。”(p38)
” 最近、「魂のまにまに」という言葉をつかうんだ。
「まにまに」ってやまと言葉、そのまんまってことなんだよ。魂のまんま、気になること。
それをやると魂が強くなる。
頭で止めないこと。昔の人は魂のまにまに、感じたことをやったんだ。感じたことをやりなさい。
感じたことをどうしてやるかは、考えてやりなさい。魂のまにまにを大事にして。そうするとうまくいく。”(p130-131)
” 頭で決めないこと。感じたことからやりなさい。魂のまにまにを大事にして “(p164)”
分かちゃいるけど、出来そうでなかなか出来ない「直観に従って生きる」生き方の指摘は本書でも。
稀少なる山、自然から会得ことの表現
引用した内容は当然、星野文鉱さんが山の中に入られた時間の中で学ばれたことで
今の時代、生き方について書かれた本が溢れる中で、その切り口が本書を特異なものとし、
私自身、言葉に重み、説得力を感じるもとになったのだと思います。
本全体で164ページ、各項目1〜3ページ程度に簡素な表現でまとめられ、とても読みやすく、
読了後、とても清々しい氣分にさせられたことに本書の価値があるように感じました。