先日、中間記をアップロードした
平城寿さんの『ITエンジニアのための「人生戦略」の教科書』を読了。
中〜後半は、見積に関する心得であったり、顧客との向き合い方であったり、全体的に前半の総論を受けての各論が展開されています。
その中で今回、印象的であった箇所を引用してみたいと思います。
覚悟、ピンチをチャンスに変えるしたたかさ
2次請けのあおりで納期を遵守出来ない状況に陥ってしまったときのエピソードの紹介で・・
” 顧客から次々にフィードバックが来るなかで、私はいちいち電話やメールでやり取りしている時間がもったいないと考え、
自らお願いして顧客のオフィスに机を用意してもらい、私のパソコンの横に担当者に座ってもらい、片っ端から顧客の要望を潰していったのだ。 ・・中略・・
この時私が顧客のオフィスで担当者の目の前でプログラムを修正していったことには3つの狙いがあった。
1つ目は、私の方から顧客のオフィスで作業をさせてほしいと申し出ることで、こちらの誠意を伝えることだった。
通常、このような提案をする人はいないだろうから、逆に印象的だったに違いない。
2つ目は、顧客と同じオフィスで机を並べて仕事をしたことによって、「戦友」という親近感を沸かせたことだ。
通常、顧客はお金を払う側、我々業者はお金をいただく側で利害は相反するのだが、顧客と同じ時間・空間を過ごすことで「味方」という意識を持ってもらえれば、
何らかトラブルが発生したとしても、強く咎められることはないだろう。
3つ目は、私が実際にプログラミングをしている現場を見ることで、「この人ができる!」と思ってもらえることだった。
IT業界でない人が実際のプログラミング風景を見るというのはとても稀なことであり、
プログラミングができない人からすれば、プログラミング言語という機械語を巧みに操る人の姿は「神」に見えるようだ。
技術面での信頼性を獲得しておけば、その後のコミュニケーションも円滑に進むと考えたのだ。
この3つはすべて私の思惑どおりに働き、このことがきっかけで、私は顧客から絶大な信頼を得ることができた。”(p200-201)
本書で紹介されているさまざまなテクニックも大事、有効的ながら、
それらを支える土台となる覚悟に、ピンチをチャンスに繋げていくしたたかさ(戦略性)、
著者の平城寿さんのキャラクターがよく表れているように感じ、印象に残りました。
ワクワクに満ちる毎日を生きるためのプロセス
全体で250ページ超のボリュームに、値段も2,280円(税別)と、何れもビジネス書としては1.5冊分といった感じですが
本書でターゲットされているITエンジニアの方々をはじめ、著者の平城寿さんが、
” 今の私の日々は「好き」に満ち溢れている。朝目が覚めてから夜眠りにつくまで、頭の中は「やりたいこと」でいっぱいであり、毎日がワクワクしてたまらない。”(p247)
との心境、ステージに至るプロセスをマインドセット、スキル双方の面から克明に学ぶことを出来る読み応えのある一冊です。