青山千春博士に学ぶ、メタンハイドレート研究の最前線と日本を変え得る未来:『科学者の話ってなんて面白いんだろう メタンハイドレートの対論会場へようこそ』中間記

青山千春博士の新著『科学者の話ってなんて面白いんだろう  メタンハイドレートの対論会場へようこそ』を読み始めて

全部で三章あるうちの第一章(日本は変わり始めている)を読み終えたので、そこまでのおさらい。

本書を読み始めてから間もなく本書の題材となっているメタンハイドレートに関するニュースが

出典:NHK NEWS WEB(画像は記事にリンク)

主要メディアに大々的に掲載↑されるというタイミングの良さでしたが、

本書を開いたところの「はじめに」で、青山千春博士がメタンハイドレートに関して・・

” 日本は資源小国だという思い込みを、真っ向から打ち破る新しい力、それがメタンハイドレート(以下、MH)です。

わたしたち日本人が建国以来初めて見つけた、海に抱擁している本格的な自前資源です。”(p1)

と説明。本書の意義については

” 日本の自前資源の、たった今の現在、それから近未来について日本でも世界でも最初のリアルな証言集になりました。”(p2)

と、(本書で)十九人のメタンハイドレートに関する当事者が登場。第一章では六名の方が青山千春博士の取材に応じています。

メタンハイドレートの?と!

一口にメタンハイドレートと言っても、

” わたしたち(註:青山千春博士)は、同じMHでも、政府の支えがまるでなかった表層型MHに取り組んできました。

政府・経産省は、経済的に豊かな太平洋側に多く賦存する砂層型MHだけに長く注力し、過疎に苦しむ日本海側に多く賦存する表層型 MHは、逆に長く無視していました。”(p54-55)

というイロハに、今までの経緯に・・

” わたしたちがもうとっくに、表層型MHの白い塊を日本海の海底から採取し、メタンプルームもたくさん発見しているのに、

当初政府は砂層型MHを対象とした開発計画を立てていたので、あとから発見された表層型MHに対しては、扱いが冷たかったのです。

そして、私がひとりで訪ねると、当時のキャリア組の課長が突然、「そんなに表層型MHに拘るのなら、あなたなど国賊だ」と言いました。ビックリしました。”(p13)

噛み合わぬ現場での出来事に、、。

それでも、

” 二〇一四年の日本海連合の公開フォーラムでのことです。パネリストのひとりを務められた南さんが、天然ガスの価格交渉に言及され、

「日本が(日本海の)表層型MHの開発に本気になるらしいというだけで、ロシアが天然ガスの価格を下げてくる」と仰いましたよね。”(p21)

と、可能性の段階ながら、日本国内にとどまらず対外的にも影響力の大きな資源であることが読書を通じて伝わってきます。

メタンハイドレートの可能性と不安

私自身、メタンハイドレートの存在を知ったのは、昨年(2016年)末に開催された青山千春博士と青山繁晴さん登壇のトークショー ↓

<< 2016年12月10日投稿:画像は記事にリンク >> 青山繁晴議員の卓越性と優しさが身に沁みた:青山繁晴議員X青山千春博士トークショー&サイン会 参加記

とわりと最近のことで、

しばしのインターバルを経て、本書を通じて(メタンハイドレートについて)掘り下げて学ぶことになりましたが、

予算がついたらついたで

” 予算が(いまより)一桁多いと、食い散らかされて「さようなら」となる可能性もあります。

予算が多いと、本気の人にやってもらうのは逆に難しくなります。”( p18)

という見立てであったり、

” アメリカではエクソンなどMH開発に投資していますが、失敗してもワールドワイドにお金があるからリカバーできるでしょう。

しかしながら、そういうお金のない日本の企業の場合、失敗するわけにはいきません。”(p104)

という国際間競争であったり、注目度は高まっている裏側での攻防も透けて見え、

今後、メタンハイドレートのニュースに触れた際は、このような背景を踏まえ理解を深めていこうとのきっかけの一冊になりました。

後日、第二章(科学者の挑戦、生みの苦しみ)、第三章(いよいよ使える自前資源の生産に向けて)を読み終えた後、再び内容をシェアしたいと思います。

 


Comments

comments