2017/18年度予算案で示されたインフラ開発への注力
” オーストラリア政府は9日、来年度(2017年7月~18年6月)の予算案を発表した。
資源ブーム後の新たな成長エンジンとしてインフラ開発を打ち出し、広大な国土をつなぐ道路や鉄道の整備などに今後10年で750億豪ドル(約6兆円)を投じる。
26年目を迎えた経済成長を持続させ、オランダの持つ世界最長記録の更新を目指す。
ターンブル政権にとって2度目となる予算案は、インフラ整備による景気刺激と雇用創出を前面に打ち出した。
中核となるのが10年で200億豪ドルを支出する旅客・貨物鉄道の整備や改修だ。
メルボルンとブリスベンを従来より10時間短い24時間以内で結ぶ内陸貨物鉄道を整備。既存の1,200キロメートルを改良し、500キロメートルを新設する。
政府が84億豪ドルを資本注入し、建設や運営は民間に委託するPPP(官民パートナーシップ)方式を採用する。
シドニーなど大都市や地方都市をつなぐ高速鉄道の開発も始動する。事業化に向けた予算として来年度に2,000万豪ドルを計上。
民間企業や州政府から事業参加への関心を募った上で、最大3つの事業を選定する。
ほかに26年開業予定のシドニー第2空港建設に53億豪ドルの資本を注入。スノーウィー・ハイドロ水力発電所の拡張など大型案件が相次ぐ。
モリソン財務相は9日の議会演説で「経済成長を支えるため国家建設に投資する」と語った。
インフラ整備に民間資金を積極的に活用することにより、歳出全体の伸びは今後4年で年平均2%未満に抑える計画。
財政赤字は来年度の294億豪ドルから改善し、20~21年度に黒字に転じるとの従来見通しを維持した。
豪経済は1991年以来、マイナス成長が2四半期続く景気後退を免れてきた。
AMPキャピタルのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は今年6月発表の1~3月期実質国内総生産(GDP)を「前期比0.3~0.4%増」と予想。
景気後退を経験しない成長期間が、オランダの持つ最長記録の103四半期(25年9カ月)に並ぶのは確実とみる。
ただ、成長をけん引してきた資源ブームが終息し、鉄鉱石価格は足元で1トン60ドル台とピーク時の3分の1以下に下落。
ここ数年の住宅投資ブームにも陰りが見え始め、政府は新たな成長の担い手を示す必要に迫られていた。
「インフラ事業は経済を刺激し、長期的に生産性を向上させる」とオリバー氏は話す。政府は実質GDP成長率が16~17年度の1.75%から17~18年度は2.75%に回復すると見込んでいる。”(出典:日本経済新聞)
2017/2018年度予算案に関連した記事は
↑など3回目です。
今回の(記事)は、オーストラリアが目指す国家像が端的に整理されているものと思い、改めて取り上げたく考えました。
長期で人口増加が見込まれていることから(人口規模拡大に伴う)インフラ整備は当然、優先度の高い事柄となりますね。