先日、トークショーに参加した中林美恵子さんの
著書『トランプ大統領とアメリカ議会』を読み始めて
下記の
第1章 なぜトランプ氏は大統領に選ばれたのか
第2章 大統領権限とアメリカにおける三権分立
第3章 トランプ大統領と議会の攻防
第4章 トランプ大統領の人事と政策
エピローグ ロシアゲート疑惑の行方
全5章あるうちの2章までを読み終えたので、そこまでのおさらい。
書かれてあることは・・
” 伝統的な共和党の政策は、自由経済や国際貿易の推進および強固な安全保障政策に加えて伝統的な価値の保持を掲げている。
そのなかで、グローバル化とともに衰退産業から抜け出せないプア・ホワイトの貧困状況、産業構造の変化についていけず置いてけぼりになっている人々の生活の改善にまで光を当てることができずにいた。
伝統的な社会を維持するという保守的な価値観では共和党を支持しながらも、一方でグローバル化しを推し進め自由貿易主義を標榜することにはついていけずに投票に行かずにいた人々もいる。
そうした取り残された層の有権者に、強烈なメッセージを発することができたのがトランプ候補だったのである。”(p13)
” 1984年以来、大統領選挙を研究している学者に、アメリカン大学のアラン・リットマン(Allan Lichtman)教授がいる。
地震予知の安定と興隆のサイクルという考え方を用いて大統領選挙を分析している。
現政権への評価を調べて大統領選挙結果を予測するのだが、大統領選挙は人々が思うほど選挙戦、演説、討論会、資金に左右されておらず、
現政権およびその政党への国民投票の意味合いが大きいというのだ。
もし大統領の実績が一定以上満足のいくものであれば、同一の政党の大統領選挙でも勝つ。もし不満足が勝れば、政権政党が交代する。
このような観点からすると、ポリティカル・コレクトネスを強いられつづけてきた国民が、口にはできないけれど溜め込んできた「裸の王様」的な気持ちが反映された可能性もある。
オバマ政権に対する満足度が表面的に信じられていたほど高くなかったというのが、リットマン教授の理論によるクリントン候補敗北の理由である。
世論調査によればオバマ大統領は退任の直前まで比較的高い支持率を維持していたが、クリントン候補の助けとなるレベルには達していなかったと考えられる。”(p25-26)
といったドナルド・トランプ大統領誕生の背景に、第2章では
” アメリカの大統領は、外から見ると強大な権限を独り占めしているように見える。たしかに、軍隊の最高司令官として決定的な力をもつし、外交政策や安全保障政策では世界に対して絶大な影響力をもっている。
しかしながら、権力の独り占めがあるはずもなく、実際には大統領の権限はいろいろな制限がかかっている。
それはアメリカ国外のわれわれが信じている以上に厳しい制限である。
そうした制限の理由は明快で、アメリカ合衆国憲法が国の統治機構について定めたとき、権限を行政立法、司法の三つに分けてそれらを並立させたからである。”(p78)
” 重要なのは、行政府と立法府および司法府にはチェック・アンド・バランスの関係が存在するということである。
大統領令の権限や影響力をめぐって論争になるケースも多い。アメリカでは基本的に、立法にかかわる権限はすべて議会にあり、
法律の執行にあたっては現場での対応および権限を大統領に移譲しているという立場をとる。
それだからこそ、歴代の大統領は戦争や大恐慌などの緊急事態を機に、行政府の権限拡大に努めてきた。
オバマ大統領の発した言葉にもあるように、大統領にも暗黙の権限があり、
そして国民に目を向ければ一般的な利益が存在する以上、大統領令でそれを実現することは必要な責任であるということになる。”(p88)
という大統領の権限や議会の仕組みなど、アメリカ政治のいろはについて説明されています。
政治からアメリカを学ぶ入門書
書かれてあることは、トークショーの時よりは説明が詳しくなっている分、難しく感じられる箇所もありますが、
大方のマスコミの予想を覆して、なぜ、トランプ大統領が誕生したのか、
アメリカの大統領制度/議会制度について、丁寧に記述がなされており、
類書に触れた経験がないこともあり、読書を通じて大いに学びの機会を得ています。
後半の内容について、また読了時に振り返りたいと思います。