放送作家にラジオのパーソナリティーに、様々なジャンルで才能を発揮されている高田文夫さんの
『私だけが知っている金言・笑言・名言録』を読了。
6月に本書の続編となる
『また出た 私だけが知っている金言・笑言・名言録 ②』を読了していて、
それから(本書の内容が)気になっていて、ようやく手にしたという経緯。
復活後の高田文夫さんのライフワーク
本を開いたところの「まえがき」に
” 不整脈なる大病で8時間の心肺停止( 2012年4月)。
・・中略・・
再び仕事をし始めて気がついた。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・ライブで皆、面白いことを言っている。
このままスルーするにはもったいない。気に留まったものは忘れないようにメモっておこうと心掛けた。
これが大病明けで変わったこと。言葉のメモと趣味さんぽ。”(p.003)
といった出版の経緯が記されており、23の金言、30の笑言、35の名言が収録されています。
金言・笑言・名言から1言づつ
それぞれ印象に残ったところを1つづつ引用すると・・
金言
“「人間万事可愛気」(高田の名言)
様々な書物を読んで導き出した私の名言。東大出の頭脳を持とうが、人一倍の努力家であろうが、可愛気のある奴にはどうやっても敵わない。
男も女も可愛気のない奴はなんだかシャクにさわるもの。可愛気とはもって生まれた才能らしい。トンチンカンでも毒を吐いても可愛気があればいい。
長嶋茂雄、勝新太郎、立川談志、横山やすし、ビートたけし・・・ etc。男が見てもどこか可愛いから許される。
夕暮れになっても白球を追いかけているような「稚気」を持ち合わせているのだ。稚気を持ち続けられるパフォーマーは皆から愛される。
中村勘三郎(十八代)がそうでした。”(p.016)
また、「第三章 名言」でつながりの感じられるもので
” <人生は、五分の真面目に 二分俠気(男気)残り三分は 茶目に暮らせよ > “(p.136)
と粋な感性が伝わる物言いも見られ、こういう立ち振る舞い「いいなぁ〜」と。
笑言
“「お言葉返すな、借金返せ」(星セント・ルイス)
80年代、東京漫才の希望の星として若者達から圧倒的に支持されたのが星セント・ルイスとツービート。セント・ルイスには早口すぎる名言がたくさん。
「出世の条件とは?義理と人情とお中元」「キュウリ、ピーマン、ナス別荘」なんてのもあった。
誰でも知っているヒットフレーズが、「田園調布に家が建つ」(家も建たずに早世した)「ヒット曲の条件とは?声と顔立ち、事務所の力」「現代の若者が必ず持っているものとは?ジーパン、Tシャツ、下心」なんてのもあったっけ。会いたい。
私と同世代のコンビなのにふたり揃って逝ってしまうとは・・・。たいていは片方が残って長生きするのだが。
内海桂子しかり、あした順子ひろしの順子しかり。球児好児はいまだに二人共元気で現役。「ゲロゲーロ、よもくぼ(ぼくもよ)」”(p.065)
名言
” 「俺は60万の俳優だ」(高倉健)
1959年に結婚した高倉健と江利チエミ。数年して二人の仲はギクシャク。江利チエミの方が当時、格上の俳優だったのだ。
「俺は60万円の俳優だ。家に帰ると250万の女房が居る。」と言ったと伝えられる。映画1本の出演料である。
当時1本100万円を超えると一枚看板、千両役者ということになる。ちなみにその頃、大学出の初任給は1万5千円くらいだった時代である。
いかにチエミがスターであったか・・・。そして亡くなってわかる。いかに我々が高倉健を愛していたか。
その昔、子供の好きなものは「巨人、大鵬、玉子焼き」。今の日本人の大人たちが好きなものは「桜、富士山、高倉健、カレーライス」。
この四つを愛する者こそ日本人という。”(p.091)
といったところ。多分に「昭和」を感じさせられるノスタルジーに、「あぁ、その感じ分かるなぁ」といった内容が散見されました。
名言集の体なので、読むというより、その時々で感性に引っかかった箇所をつまみ食いするような楽しみ方もあると思いますが、
高田文夫さんの感性を通して触れる(無名人を含む)芸人さんの感性が伝わってくる一冊です。