評論家 副島隆彦さんと作家 佐藤優先生の対談を収録した『世界政治 裏側の真実』を読了。
サブタイトルに「忍者・佐藤優と狂犬・副島隆彦の手裏剣対談」「インテリジェンスとコンスピラシー」といった文言も付されていますが、
本を手に取った動機は、サイン本が販売されいれていたのを見つけたのがキッカケ。
佐藤優先生本はもう何冊も読んでいたものの、副島隆彦さんは初めて。
副島隆彦(さん)という衝撃
・・そのせい(初めての副島隆彦さん)で、かなりインパクトありましたが(笑)
特に前半は、副島隆彦さんが話して、佐藤優先生が聞き手に回るといった、あまり目にしていなかった展開。
書かれてあることは本書で初めて知る内容が多く、副島隆彦さんといえば、先のアメリカ大統領選挙で、
大方の見方に反して、早くからドナルド・トランプ候補の当選を公言されていましたが
” あのときキッシンジャーは、「ヒラリーが当選したら第3次世界大戦を起こす。それは許しがたい。だからお前を勝たせる」と、
「世界皇帝」であるデイヴィッド・ロックフェラーの同意を得て決断した。・・中略・・
ですからいま、デイヴィッドの直臣であるキッシンジャーが、「世界皇帝代理」です。これが私の見立てです。キッシンジャーは、いまでもトランプに助言している。”(p19)
と、公言に至った背景に、
” トランプを筆頭とする、ど汚いNYの大親分たちが、目くばせし合っただけで、みんなで株をつり上げている。いまもこの動きが続いています。
この大物経営者たち30人ぐらいのやり方の前に、アメリカの経済学者たちの理論経済学は滅びました。
もう、難しい経済(学)理論もへったくれもありません。これがトランプたちのやっていることだ。”(p21)
と、直近のアメリカ経済のメカニズムに、
” 『ブライトバード』Britebirtというのは、オルトライト(alternative right、オルタナティブ右翼)と呼ばれる新しい保守勢力の一部であり、その旗頭です。
この勢力がニューヨークの気取った、金持ちリベラル勢力(ヒラリー派)と、歯をむき出して激突している。
これがいまのアメリカ政治の中心シーンです。”(p44-45)
と、アメリカ(政治)の現状など。
また、副島隆彦さんと佐藤優先生が対立する場面もあり、副島隆彦さんは本の最後の「おわりにー世界基準で知識、思想と語るということ」で、
” 私は、佐藤優の、世界基準で知識、思想を語ることのできる能力を高く評価している。”(p248)
と認めていながらも、
対立を厭わない直球が飛び交う展開(詳細は本書の記載に譲ります)が、本書が馴れ合いの対談本と一線を画すものとしています。
佐藤優先生も、
” 長老派の人たちは、自分は生まれる前から神様に選ばれていると考えています。つまり、人間の運命は生まれる前から全部決まっていると考えている。
選ばれた人間は、どんな試練にも耐え抜くことができると考えます。だから勤勉です。それに打たれ強い、どんな状況でも這い上がってくる。
よくいえば、打たれ強いけど、悪くいえば傲慢です。”(p36)
と、宗教観から捉えたドナルド・トランプ大統領の頭の中に、
” 私がずっと注目していたのが『スプークス』Spooks(邦題『M1-5 英国機密諜報部』というBBCが制作したスパイドラマです。
・・中略・・
国益のためだけに働いていたがゆえに生き延びることができたという構成になっています。
だからイギリス人は「こういう人たちによって、われわれの国は守られているのだ」と共感するのです。
それで「監視カメラがあってもいいじゃないか」とそういう方向に考えるわけです。
その意味においてアメリカ人にはできないような、こういう謀略、陰謀を10年間、国家ぐるみでやるというのが、イギリスの底力です。”(p149/p152-153)
という仕掛けに・・ 随所に佐藤優先生ならではの見立て、切り込みがなされています。
そして、気になる予言の行方
何より、著者 副島隆彦さんとの出会いが、本書にとって大きな意義でしたが、
記述の通りドナルド・トランプ大統領誕生の予言のほか、(本書を読むと)リーマン・ショックも正確に予想していたそうで、
「本当なのかな?」とびっくりするようなことが、次々と言い切っておられるのが鮮烈で、
その中の一つが、
” 2018年4月にアメリカが北朝鮮を空爆する “(p64)
というもの。
気にならざるを得ず、情勢も注視せざるを得ないですが、
本書をきっかけに副島隆彦さん本もチェックしていこうかなと思い始めた次第。