百田尚樹さんの新刊『逃げる力』を読了。
最近の百田尚樹さんの著書は殆ど読んでいますが、今回も書店で見付けた際にタイトルに興味を持ち、
「サイン本で欲しいなぁ」と思っていたところ即日見つけての購入。
「逃げる」ことで得られる未来
「まえがき」で
” 人間というものはできるだけ忍耐強く我慢して、自分の責任を果たさなければいけない。逃げたことが他人に知られたら、恥ずかしい。
逃げることは、消極的で、後ろ向きなこと ー そんなふうに考えて見ませんか。
でも、その考えは間違っています。「逃げる」ことは消極的な態度ではなく、戦うことと同じくらい積極的な行動なのです。
人はそれぞれ、自分の人生で、大事にしなければならないものを持っています。私の場合は、まず自分の命。そして家族です。
この自分にとって大切なものを守るために、人生にしばしば「戦うか」、あるいは「逃げるか」という選択を迫られるときがあります。
そのとき、戦っても勝ち目がない、または戦っても状況は変わらない。あるいは戦っても得るものがない、と判断したら、さっさと逃げるべきです。
これはまったく恥ずかしいことでも、いけないことでもありません。”(p3-4)
という百田尚樹さんのお考えのもと、
第一章 積極的逃走のすすめ
第二章 人生の勝利者は「逃げる達人」
第三章 会社や仕事から逃げる
第四章 人間関係から逃げる
第五章 逃げてはいけないとき
第六章 突発的危機から逃げる
第七章 国の危機から逃げる
第八章 守るべきものがあれば、逃げられる
との章立てで、論が進められています。
(いつもながらに)読みやすく、引用も豊富で、ハイペースで読了に至りましたが、
” 人は追い詰められると思考力が低下し、「現実から逃げ出す」という選択肢がまるで頭から消えてしまうことがあります。
そして極端な場合、このままこの状況に耐え続けるか、それとも、自ら死を選ぶかという本来有り得ない二択になってしまうのです。”(p18)
と程度の差はあれ、「逃げる」という判断を自分の中で合理的な選択肢を持っていれば、
本来、導きうる可能性に展開に、それらを引き出せ、再び前へ進む機会を得られることは、当然考えられる選択でしょう。
逃げず、戦うべきとき
第五章 「逃げてはいけないとき」のタイトルが示す通り、
” 最近は、「好きなことを仕事にしたい」などという人が増えているようです。そう考える人は、辛い仕事なんてとっとと逃げ出して、楽しい仕事を見つけ出したほうが良い、と思うのでしょうね。
でも、そうやって、若いうちから次々と職場を変えていれば、逃げグセがつきます。すると、じっくり仕事を学ぶ機会がないので、どの仕事も中途半端なまま、四十代、五十代を迎えるのです。”(p150)
と無闇に「逃げ」が推奨されているわけではなく、安易な選択は戒められている点には留意が必要ですが
「逃げる」=「悪い」ことの刷り込みがあるであろう多くの方にとって、思考、生き方の幅を拡げてくれる目を見開かせる一冊であると思います。