荻原浩さんがユーモアを交えて綴った、野菜づくりと小説家としての日常:『極小農園日記』中間記

直木賞作家 荻原浩さんの初エッセイ集『極小農園日記』を読み始めて

半分あたりのところまで来たので、そこまでのおさらい。

野菜づくり体験

本書は、

1章 極小農園日記 Part 1<秋冬編>

 2章 極狭旅ノート

 3章 極私的日常スケッチ

 4章 極小農園日記 Part 2<春夏編>

という章立てのもと、主として雑誌の連載がまとめられたもので

” 趣味はなんですか。と聞かれた時の僕はいつも歯切れが悪い。「うーん」とか「えーと」とか、とりあえず言葉を濁す。

相手から「特になしですね」と返されると、本当は喋りたくてうずうずしているから、

「いやいやいや」と首を横に振って、特殊な性癖をカミングアウトするようにおずおずとこう言う。

「家で野菜をつくることです」

ガーデニングと言えば話が早いのだろうが、そんなシャレた横文字、オッサンとしては口にしづらい。”(p9)

といった前段に基づいて、

(第1章は連載時期が2008年まで遡り、?となったところもありましたが)

荻原浩さんのご家庭での野菜づくりに格闘する日々が、1話5ページ程度にコミカルに綴られています。

野菜づくりと小説家としての日常と

当初はタイトルから想像される内容に「農業的なこと興味ないしなぁ、、」と及び腰であったものの、

最近のパターンと化している「サイン本だから買ってみようか」のパターンで入手したタイトル。

購入本に書かれてあったサイン

本を読み進め2章に突入すると、テーマは「野菜づくり」から「旅」に切り替わり、例えば

” 小説家をやっているとしばしば聞かれる。「アイデアはどうやって出すのか」

こっちが教えてほしい。それさえわかれば、借金の取り立て屋のように容赦なく足音高く近づいてくる締め切りに、

脂汗を流したり、髪の毛を掻きむしったり、逃亡しようかと半ば本気で考えたり、掲載号が白紙のまま世に出る夢に魘されたりはしないだろう。”(p103)

といった具合でユーモアを交え軽いタッチで、興味のある内容が書かれてあったりしていて、

当初の期待値を上回る感じで楽しく読み進められています。後半の感想の方は、また読了時に改めて。


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