先日、中間記↓をアップロードした
『真説・長州力 1951-2015』を読了。
485ページ全編に渡って、長州力さんが辿った軌跡が描かれているわけではなく、
そこには昭和のプロレス史の歴史についても記されており、長州力さんの生きざまとともに読み応えを実感しました。
UWFインターナショナルへの怨讐
個人的には会場に足を運んでいた新日本プロレスとUWFインターナショナルの全面対抗戦について書かれた
「第十一章 消されたUWF」が特に興味深く、
” 九十五年四月、北朝鮮の首都。平壌で猪木は『平和の祭典』と名付けたプロレス大会を開いている。
社会主義国家でプロレスを見せようという発想は猪木らしい進取の精神に富むものだった。しかし、収益的に大きな赤字を生み出すことになった。
長州はその赤字の穴を埋める妙案を見つける。それは彼の耳元でうるさく飛び回る、不愉快な団体を叩きつぶすという一石二鳥の策でもあった。”(p322-323)
という端緒から、そこに著者 田崎健太さんの
” ルー・テーズ、ビル・ロビンソン、ダニー・ホッジといった昔のレスラーを引っ張り出し、「シュート」の強みを前面に押し出すUインターは、長州にしてみれば、かつて自分を悩ませた亡霊に出会ったようなものだったかもしれない。
自分は仕事としてプロレスを受け入れている。どうしてまたシュートを打ち出すのだと。だからこそ、徹底的に潰そうとした ー。”(p350)
の取材をもとにしての推量が示され、より自分の実体験(生観戦)が深掘りされる思いでしたが、
本書を一冊読み終えると、昭和(或いは「平成」を含む)のプロレスが築かれていった背景に、長州力さんの存在が色濃く反映されていることが、読書を通じてよく分かりました。
常人の何倍も濃い人生 の軌跡
本の最後、「エピローグ 赤いパスポート(p476〜)」に書かれたアントニオ猪木さんへの思い、
本書執筆にあたり、田崎健太さんが取材依頼をしたものの(アントニオ猪木さん以外で)協力を得られなかったマサ斎藤さん、佐々木健介さんとのエピソードなども印象的でしたが、
田崎健太さんの
“「長州さん、もう一度人生があったら、またプロレスラーになりますか?」
「あ? ならないですね」すぐに答えが戻ってきた。”(p484)
この一文、やり取りに長州力さんが歩んだ、田崎健太さんが評する
” 彼のように常人の何倍も濃い人生を送ってきた人間 “(p485)
が、よく表されているように思い、そこに読み応えの源泉があったものと。