小柳ルミ子さんがサッカーについて溢れる愛を語った
『パスコースがない?じゃあ、つくればいい。」を読了。刊行記念イベントが開催されることを知っていたものの
小柳ルミ子、サッカーを熱く語る
決め切れないでいたところ、
イベント後、会場となった丸善丸の内店に足を運んだところサイン本を見つけ、「読んでみよう」かと。
年間2,000試合観戦というインパクト(=その背景?)に、サッカーに関して大事なことが分かりやすく書かれているかな〜と。
ハマった底知れぬサッカーの魅力
” 1日5試合、仕事のない日は10試合。睡眠時間を削って観続け、年間で平均2,000試合。2,190試合を観た年もあります。日本で一番、サッカーの試合を観ているかもしれません。
・・中略・・
ケーブルテレビはもちろん、スマホにiPad、ダ・ゾーン(DAZN)も契約しています。移動中の車の中で観たりと、24時間どこでも観られる環境にしています。”(p.003)
と日常についての紹介があり、そこにはメッシとの出会いがあり、
” サッカーは、個の力、メンタル、人間性、チームワーク、頭脳などが浮き彫りになるスポーツ。スピード感があって、プレーのイマジネーションや攻守の連続性も魅力です。
深い感動や夢、希望を与えてくれることに気づき、虜になりました。
・・中略・・
決定打が2004年、スペインリーグの名門バルセロナのトップチームでデビューしたフォワード(FW)のリオネル・メッシです。・・中略・・
メッシには最初、若くして仕事ができるところに惹かれました。17歳で「マラドーナ二世」と呼ばれ、プレッシャーもあったでしょうけど、きちんと結果を残してきた。
技術も決定力もあって、アシストもする。彼しかできないドリブルでの柔らかく細かいタッチ、パスの精度、フィニッシュの技術・・・。
あれだけの選手なのにモチベーションは下がらず、おごらず素直で自然体・・・。人間性も含めてすべてが私にとっての「神」です。”(p.011)
という熱の入りよう。
年平均2,000試合観戦から導き出された視点
本書は、
CHAPTER 1 フィールドは劇場だ! ー メッシと一流のフットボーラーたち
CHAPTER 2 これがルミ子の「サッカー・ノート」だ! ー その全貌を一挙公開
CHAPTER 3 バルセロナ訪問 ー 夢のカンプノウ
CHAPTER 4 日本代表への提言 ー どうなる?ロシアW杯
という4章立てで、例えば先ごろヴィッセル神戸への移籍が決まったアンドレス・イニエスタ選手に関して
” イニエスタは、相手の足が届かないところにボールをおける。客観的、俯瞰的に自分との相手の位置が見えていないと、ボールをキープする場所が分からないですからね。
ボールの置きどころがいいから、相手にボールを奪われないんです。”
という選手評に、
” パスをもらってから考えている時間がないのと一緒です。パスをもらう前から自分のプレーがイメージできていれば、ボールをもらった瞬間に状況が変わっても対応できる。
こうしようと思っていたけど、こっちにしようと、臨機応変に切り替えることもできる。準備が整っていれば、迷わずベストの選択ができる。こんなこともプレーを見ながら感じています。”(p.078)
という具合で、年間2,000試合観戦から導かれたサッカー評が、綴られています。
好きだからこそ、そして生きがいを得た爽快感
本に充満している思い入れの強さについては好き嫌いの分かれるところと思いますが、
最終章の「日本代表への提言」では、例えば賛否分かれるハリルホジッチ監督解任に関して
” なぜ日本でうまくいかなかったのか。理由はいくつか考えられます。
まず、戦術とか戦略とかっていうの以前の問題。日本代表の底が見えて、自分の戦や戦略を具現化できる技術がないとあきらめてしまったのではないでしょうか。”(p170-171)
或いは選手についても
” まず選手個々の技術を上げることです。もっと正確なパスを出す、もっと精度の高いクロスを上げる。確実にシュートをゴールの枠に入れる。何よりもミスをしないことです。”(p.142)
と、厳しいことも臆せず言及されており、このあたり、好きの証左/裏返しであろうと。
こちらをご覧の方々に「オススメする」といった感覚とは違いますが、好きを極めていくプロセスに、「生きがい見つけちゃったよ」という感覚が共有できるのは本書の長所であるように思います。