先月(2018年7月)末に「読み始め」↓をアップロードした、
『真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男』を読了.-
理想の裏側の深い苦悩
読み終えての端的な感想は、
タイガーマスクとして一躍脚光を浴びることになったものの
” 「新日本プロレスはいずれ格闘技をやる。お前を第一号の選手にする」と言ってくれたんです」”(p103)
師事したアントニオ猪木さんからの果たされることのなかった一語に苦しめられ、
新日本プロレス退団に至るまでの苦悩と渦中で翻弄された人間模様に・・
その後、シューティングで実現しようとした理想と現実の乖離に・・
全510ページに及ぶ圧倒的な分量に対して、内容は十五章(+プロローグ、エピローグ)に区切られていることから読みやすさは感じられたものの、
内容は重たく、佐山サトルさんが抱いてきた苦悩が読後感として、ずっしりとのしかかってきました。
佐山サトルさんの360°
タイガーマスクと世を席巻している頃に、佐山サトルさんがお母さまに言われた
” 俺、今が頂点だから、これがいつまでも続くとは思わないで欲しい。”(p505)
の一言に、
外側での華々しい栄光に対して、佐山サトルさんが抱いていた葛藤のギャップの深さを実感させられます。
また、トークショーでお話しのあった掣圏真陰流で追求されている武道へ至った
“「練習で強いのに、試合で力が出せない人間がいる。どうして人間って弱いんだろうって疑問がありました。
かつてのUWFにしても修斗にしても、みんなが群れを作りたがった。その弱さはなんだろうって」”(p498)
経緯に
” 「修斗では選手を育てることはできた。でも精神的なものを置き忘れてきたという後悔がずっとあったんです」”(p498)
という思いまで記されており、
佐山サトルさん=タイガーマスク、UWF、Rickson Gracie:ヒクソン・グレイシーを日本に連れてきたくれた人といった視点でしか語ることの出来なかった自分に、
佐山サトルさんの全体像(360°)を分からせ、特に抱いてきた内面を伝えることを実現した一冊となりました。