南海キャンディーズの山ちゃんこと、山里亮太さんの『天才はあきらめた』を読了。
これまで名前(存在)は認知していたものの、ネタを見ていたり、出演をフォローしていた経緯はないながら
たまたま全然別の情報をインターネットで検索していた際に、同書の紹介が飛び込んできて・・
数日と経たない状態で、
立ち寄った書店でサイン本を見つけたという流れから「読んでみようかな」と手に取った一冊。
屈辱こそバネに
従前、2006年に『天才になりたい』として上肢されていた著書が、(『天才はあきらめた』に)改題され、大幅に加筆、修正されたもの。
” 天才はあきらめた。だけど、その瞬間、醜い感情は一気に自分の味方になった。
その感情を燃料に変換させるワザを使うことで、努力というしんどい行動が簡単にできるようになったから。”(p3)
と、本書の冒頭「はじめに」で心情の変化について説明があり、
本の構成は山里亮太さんのお笑い芸人を志すところ(吉本興業 NSC入学)から、
コンビを結成するも、思ったようにことが進んでいかない、一方で、頭角を現していく同期に後輩・・
現実を直視することは出来ず、不満を相方にぶつけ、精神的に追い込んで解散に至ることを繰り返し、
南海キャンディーズを結成することになるしずちゃんをはじめ運命的な出会いが重なり、
それでも真っ直ぐにことは運ばなかったものの、幾多の困難、屈辱、劣等感を現状打破の原動力として、やがて
” 自分が楽しいと思っているときに笑いが起きる。その景色を見ることが、このコンビ(註:南海キャンディーズ)でできた。”(p232)
という心情を獲得するまでの波乱万丈、山里亮太さんの心の葛藤、叫びが克明に赤裸々に記されています。
なお、タイトルに用いた「張りぼての自信」とは、本書の要所要所で登場する表現で
” どんな些細なことでも、小さい自信を張り付けていく。それを繰り返していくと、結構立派な張りぼてが作られていった。
「張りぼての自信」の完成。この張りぼての自信は、「俺なんて・・・」というあきらめさせ界のスーパーエースの攻撃も見事に跳ね返し続けて、お笑い芸人への夢に向かわせてくれたのである。”(p27)
今日の山里亮太さんにとって、凄く重要なキーを意味しています。
夢を実現した「尋常じゃない努力」
本編が終わって、オードリーの若林正恭さんが、「ぼくが一番潰したい男のこと」と題して解説を書かれていますが、
” 山里亮太の努力は尋常じゃない。だが、努力という言葉だけでなくて脳に異常な発達とかがなければ、
あの現実や状況を言語化する時に引っ張ってくる言葉の質とスピードができないのである。”(p249)
と、圧倒的な努力は凄まじさは本を読んでいて、最も伝わってきたことで、
若林正恭さん評から、凡人が尋常でない努力によって、お笑い界で突き抜けた・・ ということでもなさそうですが、
一人の人間の生きざまに触れる読み物として、
たくさんの人に示唆であったり、勇気を与えることの出来る一冊であるように感じました。