明暗分れたミケルとスターバックスコーヒー
” 米コーヒーチェーン大手スターバックスは、オーストラリアで新たな問題に直面している。
ギリシャ・ラリサ に拠点を置くミケル・コーヒー・カンパニーが8月末、シドニーに初の店舗をオープンしたことがその原因だ。
急成長を続けるミケルは向こう3年内に、同国にさらに十数店舗を開業する計画だ。
オーストラリアに行ったことがある人は恐らく、主要都市でもスタバの店舗がほとんどないことに気が付いただろう。実際のところ、スタバは同国への進出で大きな失敗をしている。
同社がオーストラリアで多額の赤字を計上したのは、ビジネスモデルをローカライズできなかったことが理由だと考えられている。
特に大きな問題となったのは、食事を提供しなかったことだとされる。
スタバは同国への進出までに”宿題”を終わらせていなかったのだろう。あるいは、食べ物の匂いがエスプレッソの香りを台無しにしてしまうことを避けたかったのかもしれない。同社は北米でも、2003年に朝食メニューとして温かいチーズサンドイッチなどを発売したものの、2008年には提供を中止するという戦略的な過ちを犯している。
コーヒーショップがメニューに食事を加えることは、魅力的な考えだ。客単価を引き上げることができる。ただし、これについてスタバの創業者であるハワード・シュルツは著書「スターバックス再生物語 つながりを育む経営」中で、「サンドイッチにはニーズがあった」とした上で、次のように述べている。
「それらは結果として、売上高を伸ばし、利益を増やした…。だが、創業当初から私は、温かい食べ物を提供するという考えに抵抗していた」
シュルツは新しいものを取り入れることは歓迎するものの、顧客がサンドイッチのためにスタバの店舗に来ることを思い描いてはいなかったという。
また、オーストラリアでのスタバの失敗には、もう一つ大きな原因がある。それは、シュルツがイタリアでエスプレッソや欧州の「第3の場所」を見つけ、
米国に紹介するずっと以前から、オーストラリアではそれらが広く慣れ親しまれていたということだ。
ギリシャやイタリアからの移民たちが、国内で数多くのコーヒーショップを開業していた。
スタバと異なるミケルの姿勢
オーストラリアのスタバはミケルの進出により、また新たな問題に直面することになった。
ミケルはギリシャ国内では、27店舗にとどまるスタバを大きくしのぐ約200店舗を運営している。
国内外で急速に店舗網を拡大しているミケルの特徴は、早朝からコーヒーを提供する伝統的なコーヒーショップ、
昼前に開店し、音楽が流れる店内でコーヒーやジュースを飲みながらゆっくりできるカフェテリア、持ち帰り用のドリンクを販売するコーヒースタンドなど、
従来からあるビジネスモデルを複数取り入れているところにある。
「年内にミケルをグローバル企業にすることが目標だ」と語るミケルのレフテリス・クリアカキス社長によれば、
同社は「すでに英国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、米国に進出しており、夢は現実に近づきつつある」。
ミケルは各国の市場について注意深く調査し、ビジネスモデルを調整しながら目標を実現していきたい考えだ。
オーストラリアの店舗オーナーの一人は、クリアカキスと幾つものコーヒーショップを訪れ、
どの店にも食事のメニューがあることを確認した結果、ミケルも食事を提供することに決めたと話す。
ギリシャ国内のコーヒーショップではサンドイッチを販売するのみであることから、自国とオーストラリアでは大きく異なるメニューを用意したことになる。
スタバが大失敗したオーストラリアで今後、ミケルは成功を収めることができるだろうか。”(出典:Forbes JAPAN)
スターバックスコーヒーの(オーストラリア)国内での状況をアップデート出来ていなかったため、トピックが上がってくること自体にギャップがありましたが、
苦戦は長く指摘されてきたことで撤退も視野に入るほどで、記事を読むに競合優位性を見出せず、独自のカフェ文化を築くオーストラリア市場で受け入れ余地は少なそうです。
オーストラリア ライフスタイル & ビジネス 研究所
上記はFacebookページ「オーストラリア ライフスタイル&ビジネス研究所」の2018年9月16日分の掲載記事です。
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