先週末に『筒井康隆展』を訪れ、
サイン本ということが決め手で購入してきた
『漂流 本から本へ』を読了.-
本書については、先週読了していた
『筒井康隆、自作を語る』に、
” 自伝ですよね。自伝を年代記風に書いています。僕は自弁というのは今後も書く気はないし、まあ書くとしたらこんな形でしか書けないということですね。”(p163『筒井康隆、自作を語る』)
との記載があり、そういった意味合いも購入を後押ししていましたが、
読み始めて程なく・・
サブタイトルの「本から本へ」に、帯にある「筒井康隆のつくり方」とは、こういうこと(意味)かぁ」と、
第一章 幼少年期 一九三四年〜
第二章 演劇青年時代 一九五〇年〜
第三章 デビュー前夜 一九五七年〜
第四章 作家になる 一九六五年〜
第五章 新たなる飛躍 一九七七年〜
と、五つの年代に分けられ、筒井康隆さんが影響を受けた本について、それぞれ3ページに渡って解説が添えられているもの。
筒井作品(ワールド)の礎
取り上げられている作品は、SF小説に文学作品など、自分がこれまで積極的に手を伸ばしてこなかったジャンルで、
特に文学に距離感を抱いている身としては、
” 青猫座以来つきあいのあった女優たちがしきりに噂していたので、ぼくはその小説を読んだ。そして打ちのめされた。
こんな凄い文章が書けなければ作家になれないのかと思い、絶望した。
この作家は、ぼくの「作家にでも」といういかにも軽い考えを根本から打ち消してくれ、作家になるならそれなりの修業が必要であることを教えてくれたのである。
そのお陰でぼくは、マスコミによって便利に消費されてしまうような作家には、ならずにすんだのかもしれない。”(p129)
という三島由紀夫さんの『禁色』に、
” 現実と非現実すれすれのはざまで勝負していて、踏み出し過ぎることがない。
この芸当を学ばねばと思い、以後これはファンタジィを書くときのぼくの目標となった。
のち「ヨッパ谷への降下」という短篇でぼくは川端康成文学賞を貰うのだが、これはほんの少しでも「片腕」の境地に近づいていた筈だとぼくは自負している。”(p159)
という川端康成さんの『片腕』に、文学作品へのとっかかり、興味を持つきっかけに。
筒井康隆さんにナビゲートされる文学
紹介されている著書の合計を数えてみると66冊。筒井康隆さんで気になっている著作に目を通してから
「筒井康隆のつくり方」を辿るプロセスも楽しそうだなと、
私的に筒井康隆さんを切り口として、文学の世界に誘(いざな)われる一冊となりました ^^