先週、中間記をアップした『ニコニコ哲学』を読了。
>> 川上量生さんがニコニコ動画で実現しようとしている世界:『ニコニコ哲学』中間記 <<
KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長の川上量生さんとcakes運営されている加藤貞顕さんのインタビュー集につき、
後半に差し掛かるに連れて、前の部分を受けて進んでいく構成と異なりますが、中〜後半では・・
「あとがき」で、川上さんが(本書で)
” ぼくが語ったのは、世間ではあまりそう思われていないけれどもぼくが正しいと信じること、
そして一定以上の人が理解可能であろうレベルの理屈として説明可能なことである。” (98%/百分率は紙の本で言うところのページ数に相当/以下同様)
リスクは数値化して備える
上記の川上語録の中から読んでいて刺さりがあったのは、例えば「リスク」に関して・・
” やたらとリスクを回避したがる人って、数字に弱い人だと思うんですよ。 ・・中略・・
リスクが理論的に存在しうるだけで、やらない人がいるじゃないですか。
でも、そのリスクが起こる確率を計算したら限りなく0パーセントに近いかもしれない。” (60%)
” リスクがないものが、こんなにわかりにくい時代ってないですよ。” (65%)
「論理」対「直感」の図式
インタビュアーの加藤さんの「すごく頭のいい人って2種類いると思うんです。論理主導の人と、感覚主導の人です。」との投げ掛けに対して、
川上さんは自身を「直感的な人間なんですよ。」として、
” 僕のロジックは、後づけの理屈です。
(ーああ、直感を理屈で説明しているのか。)
そう。それはもう、いつもくせのようにやっています。この考え方がたぶん、直感自体にも影響を与えているんですけど、。
というか、論理的な人って、そもそも直感的な人だと思うんですよね。
直感を後づけで説明する人が、論理的な人になるんです。平たく言うと、こじつけです(笑)。
こじつけようとしているうちに、論理が発達する。 ・・中略・・
直感が正しいと思った瞬間に、すごく論理力が必要になるんです。” (73%)
経営者として試される人間性
川上さんが、経営者になるまで、僕ほど性格がいい人はいないと思っていたとして・・
” 経営者というのは(中略)お金の細かいところにまで人生の注意を向けることを、
自らに課さなければいけない職業なんですよ。そうしないと、生き残れませんから。”(81%)
“「僕みたいに性格のいい人間はいないだろう」と思っている人が、経営者になったらなにが起きるか。
まあ、試されますよね。社員には厳しいことを言わないといけないし、働かないやつには処分を下さないといけない。
だって、会社がつぶれてしまうから。そういうことを続けていると、自分の唯一のアイデンティティだった
「僕はいい人だ」という前提が、がらがらと崩れていくんです。” (82%)
“経営者として必要な資質というのは、みんなからリーダーと慕われて、
決断を求められることに快感を感じることだと思うんですよね。”(83%)
といったところ。
ずれの範囲と、抑えられて然るべきことと
ニコニコ動画を日本独自のメディアとして確立された牽引者として、本を読んでいましたが
ご自身を振り返り、
” ぼくは勉強はしなかったけど趣味には没頭する学生時代を送った。趣味は努力したといってもいいが、
しょせんは中途半端な努力であって、特筆できるような結果はあまりない。 ・・中略・・
ずっと自分には自信がなかったし、生きる価値なんてないと思っていた。
かといって死にたいと思ったこともない。なりたかったのは数学者か理論物理学者で、
今もそれは変わらないけど、残念ながら、ぼくの頭ではとうてい無理である。” (98%)
と言いながら川上さんの最終学歴が京都大学のようですが、本から伝えられる今までにない感じの認識に、メッセージの発信に
一読しただけで捉えきれない感覚が残り、本書をレビューする難しさもありましたが
時代を背負った一人の起業家の感性、人との違い方(どういうところは違ってて良く、どういうところは違ってはいけない)などの点に考えを及ばされました。