文学博士 外山滋比古先生の『忘れるが勝ち! 前向きに生きるためのヒント』を読了。
外山滋比古先生と云えば、中日ドラゴンズに鳴り物入りで入団した根尾昂選手の愛読書として
今一度注目を集めた長きに及ぶベストセラー『思考の整理学』がお馴染みですが、
本書は、
第一章 忘却のすすめ
第二章 思い出はつくられる
第三章 忘れるための実践法
第四章 つよい記憶、よわい記憶
第五章 忘れてこそ豊かな人生
という目次立てのもと、さまざま「忘れる」ことの効用について書かれています。
「忘れる」ことで得られる・・
具体的には、
” ボンヤリして、たいていのことをやりすごしていれば、この世は楽園に近づく。何から何まで、自分の責任であるように考えるのは思い上がりである。
人間は、どうにもならないことをのりこえて生きられるようになっているらしい。
うまく行くのも偶然なら、失敗もまた偶然である。偶然とケンカするのは賢明ではない。
偶然と仲よくするには、忘却と仲よくすることではないか。”(p36)
という根源論に
” メモとかノートとかは、忘れないために、とったり、書いたりするものと思っているが、ありようは、ひととき、忘れていられるためのものであることを理解する人がすくない。
忘れるのが、よくないこと、という間違った考えを植えつけられたためである。
忘却が頭をよくする、忘却が記憶を強化する。”(p99)
というメモを習慣化している自分自身に、また
年末の学び(刺激)☝️に逆行する指摘であったり(苦笑)
” 毎夜、ほとんどすべての人が、レム睡眠をおこしている。頭の中にあるものをとりあえず風化させて、多くのものを処分する。
朝、目をさまして、気分が爽快と感じられるのは、夜中のレム睡眠によって、風化が行われたからである。
その風化がうまく行かないと、何らかの異和をおこさせることになる。風化は忘却である。整理である。避けることができない。”(p111)
と、日々に実感していることまで、
エッセータッチで一遍5〜6ページと読みやすく、一般的に負のイメージが付きまとう「忘れる」ことがもたらす恩恵について書かれてある一冊です。