ロボットコミュニケーターで、(共同)創設された株式会社オリィ研究所で「コミュニケーションテクノロジーで人類の孤独を解消する。」とのミッションを掲げられている吉藤オリィさんの
『サイボーグ革命 リアルとネットが融合する世界でやりたいことを実現する人生の戦略」を読了。
本を手元に引き寄せたは良いが、タイトルや表紙からテクノロジーに寄せた専門書かと思いきや・・ 然に非ず ^^
テクノロジーが急接近している現実
まず、タイトル(サイボーグ時代)について
” テクノロジーを日常生活にうまく取り入れることで、いままでできなかったこと、これまでの「当たり前」を更新し続ける時代。
今年できなかったことが、来年できるようになる時代を我々は歩いている。”(p013)
という時代認識が示され、本書については
” この本を読み終えるころには、あなたは思考のかせを取り外し、目の前の障害は「仕方ないこと、諦めるべきこと」ではなく、
「人類あるいは自分がまだ乗り越え方を知らないハードルに過ぎない」と考えられるようになっているだろう。
大切なことは、「自分がやりたいことはなにか?」を考え、それに役立つツールを見つけて生活の一部に取り入れ、
場合によっては自分で工夫して生み出し、自分にとって「当たり前」とすることだ。”(p013)
と説明されています。
テクノロジーが切り拓いている今この時代
本文では、
” 私が17歳から続けている研究テーマは「孤独の解消」、つまり人が孤独にならないためのテクノロジーをつくることだ。”(p031)
と、吉藤オリィさんのこれまでの歩みを交え、直近の取り組みが語られています。
テクノロジーと聞くと、不要に苦手意識を感じてしまう私にとって
” 理系でない人は「テクノロジー」などと聞くと、よくわからない最先端技術のように聞こえるかもしれないが、そんなに難しく考える必要はない。
テクノロジーとは、つまりは「便利な道具」のことだ。”(p009)
とハードルを下げてくれ、今の時代のテクノロジーを実感させられたのは
” 2012年にロンドン・パラリンピック陸上男子走り幅跳びで、マルクス・レーム(ドイツ)は、義足で健常者を抑えて優勝する記録を残した。
同様のことは、さまざまな種目で起きている。
小児ポリオで下半身が不自由なシアマンド・ラーマン(イラン)は、パワーリフティングでほぼ同じルールで競う健常者の最高記録を、35キロ上回った。
最近では障害者が健常者の記録を超えるケースが出始めている。”(p128)
といった自分の想像を凌駕していた現実。
考え方のアップデート
印象に残された部分は、時代を捉えている(であろう)考え方について言及されているところで
” これまでの時代は「年長者が年下に教えているのが当たり前」だったが、価値観が多様化した社会においては「年長者が年下の人間に教えを請うのがスタンダードな時代」になる。いわば「逆年功序列社会」だ。”(p039)
昨今、頻出しているコミュニティについて
” コミュニティ選びの1つの視点だが、コミュニティでなにを「学ぶ」かよりも、そこで足りていない、だれも考えられていない部分を「担う」かを考えたほうがよい。
・・中略・・
自分の能力を活かすなら、自分と同じ属性の人のいないコミュニティに異文化を持ち込み、そこで必要とされるよう役割をつくるのだ。”(p059)
或いは
” 多くのは人は「相手のことを忘れるのは失礼」という価値観をなぜか持っている。だが、そうではなく、「相手に自分のことを忘れさせてしまうのは失礼」という価値観があってもいいのではないか。”(p108)
や
” 考えてみれば、文句や苦情が出るということは、そのアイディアや行動が、人々のこれまでの常識の範囲外であるということの証明になる。
つまり、理解できない人たちがいるくらい、新しいことをやっているということだ。”(p167)
と従来から逆説的な指摘が、納得感ある形で随所に指摘されており、
自分の頭の中のシャッフルの必要性に、ちょっと遠ざけていた感のテクノロジーを引き寄せられた感を持てる著書でした。