先月(2019年5月)、刊行記念トーク&サイン会に参加していた上念司さんの
『経済で読み解く日本史』を読み始め。
「五巻あるうちのどれからにしようかなぁ」と、本来、最初(最古)から読みたい性分であるものの、
三巻目の「江戸時代」から。
経済の基本から史実の背景をストーリーで
その中で今回は、
第1章 「貧農史観」を捨てよ!
第2章 なぜ江戸幕府はいつも「財政難」なのか?
第3章 大名と百姓のビジネス
第4章 借金苦に喘ぐ大名、アイデアに溢れる商人
第5章 「民間の活力」を生かせなかった江戸幕府
第6章 明治維新の原動力になった江戸の蓄積
と章立てするうちの第3章まで読み終えたので、そこまでのおさらい。
「経済で読み解く」と冠されているだけに
” モノの生産が増えないのにお金だけが増えれば、モノが不足して値段が上がります。これがインフレです。
反対にモノが増えているのに、お金の量の増加が足らなければ、モノよりもお金の値段が高くなってデフレになってしまいます。
常に、モノとお金はバランスよくさせないと経済のパフォーマンスは低下してしまうのです。”(p72)
と経済の基本的なことに、
” なぜ、自由が経済を発展させるのか、自由に商売することでたくさんのアイデアが生まれ、それが競争によって淘汰されることで、正しいアイデアが生き残るからです。
生き残るとはつまり、そのアイデアが一番儲かったという意味です。”(p51-52)
現代でも汎用生のある記述が散見されます。
骨格を成す日本史についても
” 関ヶ原の戦いの詳細についてはここでは述べません。ただ、戦術的には優位であった西軍が小早川秀秋の裏切りで総崩れとなり、戦いは極めて短期間に終わったという点が重要です。”(p62)
或いは
” 参勤交代の際に連れてくるお供の数が増えると、領民の負担が増えるので相応に人数を減らしなさいと書いてあるじゃないですか!
財政的に困窮させるどころか、家光は大名の負担を心配し、結果的に領民を苦しめるのではないかと懸念しているわけです。
歴史教科書の記述とはずいぶん違います。”(p122)
と、教科書で学んだ年号+史実(最低限の記述)にとどまらず、史実の背景についてストーリーで頭に入るよう端的に書かれていて、
引用した参勤交代の事例では、教室で学んだことの逆の実態を知らされたり・・
情報量が多い分、読み進めるペースはスローになりがちですが、ストーリーとしての日本史を興味深く読み進められています。