映画プロデューサー、小説家など、多方面で才能を発揮しヒットを飛ばされている川村元気さんの『百花』を読了。
本作について紹介があり、本の内容というよりは著者の川村元気さんに対して興味を抱き、
直後、サイン本の販売を見つけて購入していた経緯。
認知症が書き換えてしまう現実
話しは母子家庭で生まれ育った主人公と母を中心に展開され、
日々だんだんと噛み合わなくなる会話に、予想だにしなかった行動に・・
“「こちらに来られる前の物忘れの状態などと併せて診ますと、認知症がある程度進んでいると考えられます」”(p97)
認知症が発覚し、直視せざる得ない現実の数々。
否が応でも経過していく日常の中の
” 母の本は、一冊も捨てることが出来なかった。百合子(註:主人公の伴侶)がミステリー小説やガイドブックをふたたび読む日がくるとは思えなかったが、今捨ててしまうともっと遠くに行ってしまう気がした。”(p173)
といった描写から、徐々に母の存在が遠のいていってしまう切ないストーリー。
今、世に多く起こっているであろう・・
親の介護で職場を離れざるを得ない人が年間10万人とか、実際、介護で時短勤務を強いられている人の現状を目の当たりにしていて、
自分自身を切り離して考えられない現実性に、「老い」ということに関して299ページに及んで向き合わされた世界に
母子関係を軸に「う〜ん、、」とさまざま湧き上がってくる感情を自覚させられました。