プロレス史に名を刻むザ・グレート・カブキさんとタイガー戸口選手の対談本
『毒虎シュート夜話』を読了。
刊行イベント開催を承知していて興味あったものの、予定が重なって行けず、
後日、会場の書泉グランデを訪れたところ
サイン本を入手出来ていたという経緯。
リングを取り巻く界隈で・・
タイトルに「昭和プロレス暗黒対談」とある通り、主にリング外での出来事について赤裸々に綴られており、
話しは
” 戸口 うん、馬場さんが、歴代のプロレスラーの中で、日本ナンバーワンというのは、間違いない。世界はともかく。
カブキ そう、間違いない。もう、亡くなられて20年たつけど、日本では馬場さんが一番。”(p17)
と、ジャイアント馬場さんのリング内での評価が最高である一方、アントニオ猪木さんについては
” 戸口 猪木さんのプロレスは、相手に攻めさせておいて、ずっとやらせておいて、あとで自分でカムバックして、ぱんと押さえて、終わりじゃない。
それじゃあ、おもしろくないって。プロレスっていうのは、馬場さんみたいにお客さんを見ながら、やったら、やり返すのを見せていかないと。
馬場さんのほうが、プロレスがうまい。プロレスラーとしては馬場さんのほうが上だった。”(p150)
という比較論。
国境を跨いだプロレスラーx2
これはお二人とも日本に限らず、
“(カブキ) アメリカに行った時に一番わかったのは、「ここで稼げるかどうかは、受け身取れるか、取れないかだな」ってこと。
「バーン、バーン」って受け身取れるのは金稼げるけど、「ポテン」ってやっていたら、金稼げない。
それでヒールだったら、アメリカ人のベビーフェイスを、「いかに、かっこよく見せるか」「いかに強く見せるか」だから。”(p226)
と、アメリカのマット界でも長く活躍されてきたというキャリアから。
アメリカ合衆国ドナルド・トランプ大統領はキム・ドク(タイガー戸口)選手の大ファンであることは知られた話し。
その稼ぎっぷりも
” カブキ 俺の最盛期は1週間で2万ドル(約520万円)というのがあったよ。”(p77)
と具体的に ^^
プロレスラーはリング外でも大変だ、、
その他、
” カブキ そうそう。それで、武藤とはフロリダで会って、そしたらゲーリーから「お前、どのぐらいアメリカにいられるんだ」って聞かれた武藤が「半年か1年だろうな」って言ったら、
「じゃあ、手っ取り早く稼いだほうがいい、だったら歌舞伎の格好しろ」って言って、ペイントしてグレート・ムタになった。”(p120)
という知られざる?逸話に
” 戸口 選手が引退した際、リング上での引退式をするけど、そこで渡される金一封の中には新聞紙が入っているって。
カブキ そうだよ。新聞紙1万円札の大きさに切って、それを束ねてのし袋に入れるの。厚みを出すようにして。”(p181)
というお金にまつわるトホホ過ぎる現実がこれでもかと言わんばかりに ^〜^;
” ソープばかり、行ってやってたんだもん。そんなん、なるさ、B型肝炎に。”(p174)
なる一文を含む「レスラーたちの下半身」と題された章もあり、
プロレス本は数あれども、本書でしか知ることの出来ない舞台裏の数々のカミングアウトに、
プロレスを知り尽くしたお二人だからこそのプロレス論にと、読み応え感じる全269ページでした。