先週から読み進めていた『ファクトフルネス 10の思い込みを乗り越え、データを表に世界を正しく見る習慣』を読了。
中間記⬆︎後は、
第9章 犯人捜し本能
第10章 焦り本能
第11章 ファクトフルネスを実践しよう
に加えて、著者ハンス・ロスリング(医師、Gapminder:ギャップマインダー財団 設立者)の子息オーラ・ロスリングが本書刊行に至った背景に触れた「おわりに」など。
その「おわりに」では、
” 父とわたしたち夫婦の3人で一緒に本を書こうと決めたのは、2015年9月のことだった。
翌年の2月5日、父は末期のすい臓がんを宣告された。もう手の施しようがないほど進んでいた。余命はあと2ヶ月から3ヶ月、緩和治療が奇跡的にうまくいったとしても、1年ほどしか持たないだろうと診断された。
・・中略・・
その週のうちに、翌年までに予定されていた67の講演をすべてキャンセルし、テレビ出演もラジオ出演も映画制作を取りやめた。
苦渋の選択だったけれど、そうするしかないと本人もわかっていた。
ほかの仕事をすべてあきらめていいと思えたのは、ひとつの希望があったからだ。それが本書の執筆だった。”(位置 No.3976-3982/77%)
とのハンス・ロスリングが本書に込めた想いに言及されており、出版時には既に他界されてしまっていたとのことですが、
世界的な反響を呼んだことで、想いは報われたといって良いでしょう。
データを直視することで透ける近未来
ハンス・ロスリング自身は、本書の結びで
” 世界中のすべての人が、事実に基づいて世界を見る日がいつかやって来るだろうか?大きな変革はなかなか想像できないものだ。
でも、そんな日がやってきてもおかしくないし、いつかやってくると思っている。理由は2つ。
ひとつは、正確なGPSが道案内に役に立つのと同じで、事実に基づいて世界を見ることが人生の役に立つからだ。
もうひとつは、もっと大切なことだ。事実に基づいて世界を見ると、心が穏やかになる。ドラマチックに世界を見るよりも、ストレスが少ないし、気分も少しは軽くなる。
ドラマチックな見方はあまりにも後ろ向きで心が冷えてしまう。
事実に基づいて世界を見れば、世の中もそれほど悪くないと思えてくる。”(位置 No.3964/77%)
と述べており、生前、オーラ・ロスリングによると
” 父の中にはいつも、相反する2つの想いがあった。世界を心配する気持ちと、あふれるほどの人生への喜びだ。
その2つを同時に抱えた人だった。”(位置 No.4011/78%)
と振り返っており、著者自身の生きざまが強く反映された著書と位置づけて良いでしょう。
データを直視することで透ける近未来
今回、読み進めた後半部では、やはり(中間記の時と同様)現下の新型コロナウイルス渦を見越したかの
” 感染症の専門家のあいだではいまも、新種のインフルエンザが最大の脅威だというのは共通の認識になっている。
その理由は、インフルエンザの感染経路にある。インフルエンザウイルスは目に見えない粒子になって飛沫感染する。
感染者が地下鉄に乗ると、同じ車両の人は全員感染する可能性がある。
接触しなくても感染するし、同じ場所に触らなくても感染する。あっという間に広がるインフルエンザのような感染症は、エボラやHIV・エイズのような病気よりもはるかに大きな脅威となる。”(位置 No.3673-3682/72%)
との指摘に、他の脅威として
” わたしがいちばん心配している5つのリスクは、感染症の世界的な流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、そして極度の貧困だ。
なぜこの5つを特に心配しているかと言えば、実際に起きる可能性が高いからだ。
最初の3つはこれまでに起きたことがあるし、あとの2つは現在進行中だ。
どの危機が起きても、大勢の人が苦しみ、数年、または数十年にわたって人類の進歩が止まってしまう。
もしこれらの危機を切り抜けられなかったら、ほかのこともすべてダメになってしまう。”(位置 No.3664/72%)
を上げ、データを紐解いていくことでの人類の危うさ(≒歴史は繰り返す)についても分量が割かれていて、その部分、重くのしかかってきました。