元格闘家、現リングスCEO & 総合格闘技大会「THE OUTSIDER」 プロデューサー 前田日明さんの『日本人はもっと幸せになっていいはずだ』を読了。
サイン本販売機会を捉え
即反応し入手していた経緯。
見過ごされている致命的危機
タイトルからてっきり日本人が見落としてしまっていること、気づいてない幸せに目を向けさせられる内容と思いきや
冒頭から
” 日本に対して憤っていることがあるからだ。日本という国の考え方、やり方に怒りを抑えることができない。
例えば、地震対策についてだ。南海トラフ地震は2000年代の最初の時点で30年の間に70%の確率で起こると言われていた。
しかし、日本政府はいまだにしっかりした対策をとっていない。”(p2)
に、現在、未曾有の豪雨が降り続いている九州に関しても
“九州ではいまや毎年のように災害が発生しており、昨年7月にも豪雨が熊本を襲って球磨川にかかる橋が計17橋も流されている。
そのほとんどは50年以上も前に作られたもので、中には神瀬橋の1934年完成、相原橋1935年完成と80年を超えているものまである。
橋の耐用年数は一般的にコンクリート製で50年、鉄骨造で40年と言われるから、明らかに耐用年数を過ぎているのに、国はなにもしようとしない。”(p9-10)
と烈火冷めやらず、さながらリング上を彷彿とさせられるバトルモード全開。本書は、
第1部 日本へ
第1章 自虐史観
第2章 国を守る
第3章 日本の法律が日本を守っていない
第4章 日本国は日本人の資産を守らない
第5章 不甲斐ない日本のリーダーたち
第6章 日本人はもっと幸せになっていい
第2部 対談編
京都大学大学院教授・藤井聡 vs 前田日明
『正論』元編集長・上島嘉郎 vs 前田日明
との章立てに沿い、前田日明さんの日ごろの忸怩たる思い、怒りが、論拠も示されながら伝わってくる内容となっています。
深刻ながら、つづく不作為
怒りの矛先は、例えば原文(英語)の解釈の余地が生じてしまっているサンフランシスコ講和条約の
” そもそも日本語の正文がない条約にサインするということは白紙委任状にサインすることとほとんど同じだろう。そんなものに署名させられている時点で、日本は独立していない。”(p110)
内包してしまっている根幹的な欠陥であったり、
日本のインフラが耐用年数に差し掛かっている問題は村上世彰さんも講演の場等で指摘されていたことで
本書では
” ここでいう、歳出と歳入の均衡をはかるのが財政均衡論で、財務省や日経紙の言い分を読めば、日本を破綻から守るためには歳出を減らし、歳入を増やすために増税以外の道はないと思ってしまう。
しかし、これは、大ウソだ。
財務省たちが言っている国の借金とは政府の借金であり、国民は関係ない。それどころか、政府に金を貸しているのは国民のほうであり、借金というのであれば、政府が国民に返さなければいけないものなのだ。
ところが、財務省の官僚たちやマスコミは、これを国の借金だと言い換えてあたかも国民が借金をしているように言っている。”(p188)
と病巣を示し、解決策についてMMTなどを紹介し言及されています。
前田日明さんを介し
特に政治(政治家、官僚)の不作為に関しては読者のテンションも相当に引き上げられる内容となっており、
「前田日明さんがこういった内容・・」をとの意外感強かったですが、
従来、この手の問題に関心持たなかった方々に、前田日明さんを媒介に、日本が直面している深刻なる諸問題を共有していく意義深い本であるように感じました。