(2021年)6月西荻窪にある今野書店で開催されていた同書のフェア期間中に訪れ、
断続的に開催されていたサイン会に参加すべく購入していた経緯。
室町時代のアイコン
本書は
” 二〇一六年、NHKのEテレで「オトナの一休さん」というアニメ番組が作られました。
週に一度の五分番組なので、見た人はそれほど多くなかったかもしれません。たまたまやっているのを見た人は「なんだこれ?」と思ったのではないでしょうか。
そこに映る一休さんはかわいらしい小僧さんではなく、無精髭を生やした酒好き女好きのクソジジイで、言うことやること常識から外れたことばかり。実はこの姿こそが史実に基づいた一休さんなのです。”(p5-6)
という世のイメージを覆される一休さんこと一休和尚の
” 観阿弥・世阿弥による能楽の文化が出てきたり、善阿弥がいわゆる被差別民の中から現れて作庭の文化に寄与したり、そういう新奇の文化が台頭してきた室町時代に着目するわけですね。
そうした文化的な気風を象徴するのが一休の精神だという見方が、敗戦後にはけっこう出てくるようになるんですね。”(p73)
と室町時代のアイコンとしても語られる生前の姿に、
” 養生訓は、いい加減に生きること。しかしながら、一休さんは真剣に、一生をいい加減に生ききったのです。
なんとも不思議な生き方です。愚かに思われたっていい。間違ってもいい。めちゃくちゃでもいい。
それでもそれでも、自由は、人間によって大事なんだ。”(p186-187)
と貫いた生涯に、対談も交えライトなタッチで一休さんの存在に迫る内容となっています。
大人になってからの一休さん
私自身は一休さんと云えば、TVのアニメ番組でとんちで機転を利かせた見習い僧侶の刷り込みで、
その時点、実在の人物であるや否やも分かっていませんでしたが、
大人になり新たに触れることになったリアルな一休さんの存在は
同調圧力であったり、失敗に高い代償を求められがちな世の中、人生を達観したかの心のゆとりに着目させられる示唆を得られる著書でありました〜