ジャズ界が誇るベーシスト Ron Carter:ロン・カーターにフォーカスされた『「最高の音」を探して ロン・カーターのジャズと人生』を読み始めて
プレリュード
パートI アーリー・イヤーズ
パートII マイルス・イヤーズ
パートIII リーダーとして
パートIV フリーランス・イヤーズ
パートV コンテンポラリー・ロン
パートVI ベースという楽器の技巧と科学
パートVII 付録
等(別途「解説とインタビュー」ほか)とパート分けされているうち「パートIII リーダーとして」を読み終え、「パートIV フリーランス・イヤーズ」に突入(〜p.251)したので、そこまでのおさらい。
実は、その名を長く知るミュージシャン
ロン・カーターは幼少の頃、(たしか)TVコマーシャルでその存在を知って、一度、10年になるかもしれないですが、Cotton Clubでも観ていて、
本書のサイン本販売を知り、
即反応していた次第。
但し、いざ手に取ると550ページ超のボリューム ^〜^;A ここまでのものを読み込む覚悟は出来ておらず、読み始めるまでプレッシャーを感じていて、
実際、このクラスになると幼少期であるとか、無名時代の部分で冗長に感じがち。
本書でもその部分ありましたが、
” マイルスからアートの船を降りてこちらの船に乗り換えろと言われた時のロンの反応に、マイルスは一瞬たじろぐことになる。”(p140)
と、ロン・カーターのキャリアに帝王 Miles Davis:マイルス・デイヴィスが絡み始めた頃から俄然読み物として引き込まれ、
” その激しい性格で知られるマイルスだが、ロン相手に「キレた」ことはないという。
1965年のその晩、誤ってロンが、彼のトランペットを踏んでしまった時ですらだ。”(p168)
と前後の状況は実際本書の記述を辿って頂ければと思いますが、その他、お金にまつわるマイルスとの折衝、駆け引きもろもろ。
また、ロン・カーターが登場しないシーンでも、
” 自分のやっていることは前任者たちのピアノをコピーし、その影に隠れているだけだ。ついに我慢は限界に達した。
「思ったんだ。もう弾くしかない。本当の意味で弾くしかないとね。
もしそれでマイルスとうまく行かなかったとしたら、その時はなるようになれだ。
そこでその晩、シカゴのサザーランド・ラウンジで僕は好きなように弾き切った。セット終わりでマイルスからクビだと言われる覚悟で。
するとマイルスが寄りかかって来て「なんで今までああいうふうに弾かなかった?」って言ったんだ。驚いたよ。
その時気づいた。コピーは絶対オリジナル以上にはならないとね。マイルスは「この僕を」聴きたかったんだ。ロンもトニーもね」”(p171)
と、Herbie Hancock:ハービー・ハンコックとの舞台裏話しにジャズの醍醐味を感じさせられたり。
ロン・カーターを介しジャズを学ぶ読書
主人公のロン・カーターに関して、高校時代
” その頃までにロンは音楽こそが自分の天職だと気づいていたのだ。”(p82)
と早くからの自覚に、
” 「チェロは熟知していたから、ベースもそう変わらない、すぐに弾けるようになると思ったんだ」。そして付け加えた。「なんと大きな間違いだったことか」”(p93)
というオーケストラの空きが生じたことで訪れた一大転機に、
” 私はベースが持てる力と権威を表現するのが好きだ。
かつてベース奏者はベース・ラインが描く型にヴァリエーションを持たせることにしか興味がなかったが、私はそれ以上のことがしたかった。
すべてのコードをつなぐ方法を見つけたかったんだ。未だにそれを探しているよ」”(p179)
なるベーシストの矜持に。生きる伝説のジャズミュージシャン史、あまり触れたことのない経験から今後の展開も楽しみです。