元ラグビー日本代表キャプテン廣瀬俊朗さんの『相談される力』を読了。
先週開催された ↓
オンラインイベントの対象書籍として入手していた一冊。
頼りにされる者の心得
本書は、
” 40年間生きてきて、様々な立場を経験することができました。とくに30年間ラグビーをプレーしてきた中で多くのことを学ぶことができました。キャプテンに任命されることが多かったので “(p3)
との経歴を辿ってきた廣瀬俊朗さんが、
” 私のこれからの人生においてもやりたいことをやるという自己実現ではないもう一つの社会貢献として、たくさんの相談に乗っていきたいと考えています。
そんななかでふと、相談されるにはどうしたら良いのか、と考えました。まずは自分自身の在り方が大事だと思いました。
どんな人であれば、相談したくなるのか。この役職の人に相談しようではなく、廣瀬俊朗に相談しようと思ってもらえることが大事だと思っています。
そうあるために大事なことは、聞くこと、自分なりの視点で勝手に判断しないこと、相手が持っているものを引き出すこと、自分がご機嫌でいることなど色々なことが出てきました。”(p7)
といった思考の中から出版されるに至った本書。
キャプテンを通じて得られた知恵
本編では55項目に分かれ
キャプテンを任されてきた経験を通じて
” 嫌われない自分を演じたり、飾り立てた言葉を並べたりしたところで、周りには何も伝わりません。聞き手の心に響かないのです。
同じ釜の名を食べている仲間なら、「これは廣瀬の本心じゃない」とすぐに見抜くでしょう。
・・中略・・
年齢や性別に関係なく相手をリスペクトして、正直な気持ちで向き合う。
うまくいかないときは、どうすれば良かったかなと試行錯誤のあとは、悩み過ぎない、嫌われかたを間違えないというのは、自分らしく真正面から相手に寄り添っていく、ということです。”(p25)
という立場を通じて得られた考え方に、チームにおいて
” 重要なのは、チーム内に何か問題が起こったときや、選手個人が悩みを抱えているときに、「この人に相談してみよう」と思える人がいるかどうか。
「いざ」というときに誰かのことを思い浮かべて、ためらわずに話ができる関係性を作るのは、とても大事なことです。”(p31)
と頼られる存在であるための心がけに、
” 決して答えは出さない。これだけは大事にしています。自分の考えを聞かれたらある程度は言いますが、断言はしません。”(p40)
と寄り添われる者としての基本姿勢に、さまざまリーダーシップやコミュニケーションにおいてヒントとなることが綴られています。
逆境の向こう側への切り替え
日本代表の他、慶應義塾大学、東芝ブレイブルーパス(現 東芝ブレイブルーパス東京)などでもキャプテンを託され、輝かしいと感じられるキャリアの一方で
” 日本代表では12年、13年とキャプテンを任され、14年からは「メンバーのひとり」になりました。
ヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんから、「キャプテンをリーチマイケルにしようと思う」と言われたのです。
僕自身が試合に出られる可能性が低くなり、試合で身体を張って仲間を鼓舞できる存在として、リーチをキャプテンにしたいとのことでした。
キャプテンを代えると告げられて、ちょっとホッとしたこともありましたが、心にぽっかりと穴が空きました。正直に言うと、現実以上に自分自身が否定された気になってしまいました。”(p78)
という突きつけられた現実からの切り替えといったことについても触れられており、
経験ベースに書かれた著書であるがゆえ、日常で問題が生じた際など、本書の気になった部分をピンポイントで目を通すなどの使い方を出来る著書であるように思います。