アントニオ猪木さんの『最後に勝つ負け方を知っておけ。』を読了。
本書を、冒頭の棚橋弘至選手による「文庫化に寄せて ー 負けてなおマウントを取るアントニオ猪木の恐ろしさ!」から拾うと
” この本、もともとは猪木さんが47歳の時に書いたものらしいですね。”(p9)
という1990年9月に出版された著書が、2022年6月に文庫化された経緯。
色紙を書かれている動画を視聴していて
動かない手で一生懸命書きました。最後に勝つ負け方を知っておけ。青春出版社 アントニオ猪木
本書刊行を記念したものであったのかと反応し購入。
出版当時、アントニオ猪木さんは
” 参議院議員選挙 ー
俺にとって、これほど感激的な経験はいままでなかった。俺の人生で、アリ戦とかいろいろ節目はあったけれど、この選挙の感激はとくに大きい。これが一番新しい感激だから印象が強いとか、そういうことじゃなくてね。”(p35)
と現役選手として戦歴を重ねる一方、スポーツ平和党を立ち上げ政界進出を遂げられた時期。
体験から導き出された人生訓
本編には
” 俺が大事にしていることは「体験」。自分の体験したことなら、体験してない人に負けるわけがない。”(p73-74)
と書かれてある通り、
” 人生、気取ることもないし、固定観念にとらわれることもない。主義主張は曲げられないけど、それ以外はすべて柔軟にやる。そうやらなければ人生は面白くない。”(p67)
に
” 人生っていうのは逆転、逆転の繰り返しだろう。だから、そこでよく言われるように「諦めずに」ということになるわけだけれど、その前に自分の「モノサシ」、これを大きくすることが先決なんじゃないだろうか。
この「モノサシ」というのは、要するに自分の心の広さによって決まってくる。”(p173)
など、体験に裏打ちされた人生訓が度々紹介されています。
逆境から得られた力
具体的には、世間的に広く知られた借金に関するエピソードで
” 猪木よ、絶対に逃げるな。逃げちゃダメだ。金を借りたら、その人のところにひんぱんに顔を出せ!」
ふだんからこうして人間関係をつくっておけば、もしお金を約束の期日に返せなくなっても、逃げ回るんじゃなくてお詫びに行ける。逃げ回れば逃げ回るほど、貸し主との人間関係が崩れていく。”(p118)
に、
” はたから見るとどうってことないことでも、本人にとってはものすごく深刻な問題だったりする。俺の場合は「アゴ」だ。”(p215)
とアントニオ猪木さんの身体的特徴について
” 自分の劣等感をまず意識してほしい。勇気がいることかもしれないけど、それをごまかさないでほしい。少なくとも、外面的に取りつくろってコンプレックスを打ち消すようなことはしてもらいたくない。
なぜかと言えば、徹底的に自分の劣等感というものに向き合った人ほど、「いまに見ていろ」「いつかは見返してやる」というエネルギーが強く働く。
体の底から湧き上がってくる、こういうエネルギーこそ強くて本物だと思うんだ。
ところが自分の心にごまかしがあるとエネルギーは弱い。つまりバネにならないんだ。”(p218)
など赤裸々で、これまでプロレスラーとしてのキャリアから焦点を当てていった自伝↓も読んでいましたが、
本書は内面からアントニオ猪木さんの核に迫る半生記といえ、出版時既に人の何倍もの体験、人生を生きてきたであろうアントニオ猪木さんだけに伝わる言葉にリアリティ(重み)があり、読中すこ〜んすこ〜んといった具合で腹落ちさせられ、アントニオ猪木さんらしく読み始めから読後と多分に元気にさせられました ^^