川口俊和さんが描いた未来に向かって歩み出すためとある喫茶店を訪れた4人の物語:『やさしさを忘れぬうちに』読了

小説家・脚本家・演出家 川口俊和さんの『やさしさを忘れぬうちに』を大型連休の最中に読了。

書店に寄せられた色紙の筆跡から内容に関心を抱き

購入のきっかけとなった色紙

棚に目をやれば最後一冊サイン本が販売されていたことから入手していた経緯。

とある喫茶店で起こるひと時の・・

本書には

 第一話 「離婚した両親に会いに行く少年の話」

 第二話 「名前のない子供を抱いた女の話」

 第三話 「結婚を許してやれなかった父親の話」

 第四話 「バレンタインチョコを渡せなかった女の話」

の四話が収録されており、舞台の中心となるのは

” とある街の、とある喫茶店の

とある座席には不思議な都市伝説があった

その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという

ただし、そこにはめんどくさい・・

非常にめんどくさいルールがあった “(p2)

というとある喫茶店。この場を訪れたくなるワケを有した登場人物が、所定の座席に腰を下ろし繰り広げられるシーンが読みどころ。

購入本に書かれていたサイン&落款

未来に向かって歩みだすため思いを遂げるファンタジー

四話四様に印象的なストーリーでしたが、中でも学生時代の女性同士の友情がもつれ行き違いが生じてしまい、若くしての病魔によって二人は決定的に分たれてしまったものの、

喫茶店が果たす役割によって真相が明かされていく「第四話 バレンタインチョコを渡せなかった女の話」は最も心に沁みた内容。

調べてみれば本書がシリーズ5作目とのことで、帯には「ハリウッド映像化」と記されるなど海外での反響も高い様子。

「あの時、あぁしておけば・・」といった思いや後悔等の念は誰しも抱くものであろうかと、そういった感情に突き動かされ喫茶店を訪ねた登場人物たちに共感、着席したところからの展開に引き込まれての読書、連休中の開放感と相俟って充実のひと時を刻むことが出来ました。


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