神田昌典さんの「口コミ伝染病」が、半分程度のところまできたので、前半のおさらい。
この本もタイトルは長いこと知っていて、神田さんの『あなたの会社が90日で儲かる!』
>> 神田昌典さんが解き明かす、感情を使う事で「集客」を簡単にする方法:『あなたの会社が90日で儲かる!』読了 <<
『小予算で優良顧客をつかむ方法』などと並ぶ初期の代表作と思います。
>> 神田昌典さんに学ぶ、小予算で見込客をたくさん集める広告の出し方:『カネをかけずにお客をつかむ!』読了 <<
*『カネをかけずにお客をつかむ!』は『小予算で優良顧客をつかむ方法』の文庫版
本書はタイトルの通り、「口(クチ)コミ」について書かれた本で、目次をみると・・
第1章 井戸が枯れる前に水を汲め!
第2章 「口コミ五つの常識」を大研究する!
第3章 お客がしゃべりたくなる会社、無視する会社
第4章 あなたの会社で、口コミをコントロールするには
第5章 口コミを伝染させ、売上アップも同時に実現する5ステップ・プログラム
で、今回振り返るのは第1章〜第3章。
時代に一番必要とされる「変化対応力」
第1章では、神田さんがご自身のキャリアを振り返られるところから始まり・・
” 私はマーケティング・コンサルタントとして、全国二五〇〇社以上のクライアントを持っている。売上を即効アップしたいという差し迫った相談を、
年間で二〇〇〇以上受けている。これだけの数の経営相談を一人でこなし、あらゆる業界から最新情報が集まるコンサルタントは、全国でも稀だと思う。
その実体験から言えば、どんなに頑張っても、負け組は負け続ける。なぜなら勝ち組・負け組の差は、能力の差にあるのではないからだ。
頭がいいか悪いかは関係ない。努力をどれだけしたか、という問題でもない。勝ち組と負け組には、はっきりとした差がある。その差とは何か?
勝ち組は、変化を楽しむことができるのだ。過去のルールや、過去の成功体験を捨て去るいさぎよさを持っている。
一方、負け組は、いままでの成功体験にしがみつき、過去の延長で競争している。これでは頑張れば頑張るほど、体力を消耗させる。” (p19-20)
この事を本書では、
” 喉が渇く前に、井戸を掘るのを止めろ” (p22)
という表現で警鐘を鳴らしており、
“井戸の水が枯れてくると、いままでは、努力して深く掘り進めれば、水は湧いてきた。効率よく掘り進むために、掘り方を研究する。
そして掘るのが上手になれば、喉の渇きは癒された。現在は、その井戸から、水が枯れてしまった。” (p22)
という時代背景のもと、まず経営者がやるべき事として・・
” 枯れた井戸から抜け出すのは、掘るのを止めるのが一番早い。そして井戸の外に出て、まわりを見回すのである。
すると、井戸の外には豊富な水脈がある。新鮮な水が湧き出ているのだ。
その水が豊富にあるという事実を、まず認識しよう。そうすれば、変化するのが楽しくなる。” (p28)
この事を昇華させて表現すると
” 自分の売りたいものを販売するのではなく、お客が欲しいものを販売する。” (p31)
という事。ここで大事なのは
” 豊富な井戸の水も、汲めば、必ず枯れる ” (p35)
そして・・
” チャンスは、一瞬しか訪れない。そのチャンスを逃してしまうと、次のチャンスはなかなか来ない。
だから時流に乗っているときに、広告宣伝を利用して、集められるだけ、お客を集める。
その後は、口コミを中心とした営業に変更していくのが望ましい。
つまり広告宣伝の反応が一切なくなってしまっても、口コミ・紹介だけで十分ビジネスができる体制を準備しておくのである。” (p37)
という時代背景から導かれた共通認識が形成された上で、
如何に意図的に「口コミ」を起こしていけるかという事が、実例などをもとに紹介されています。
お客さんが、つい「しゃべりたくなる」仕掛け
以下で、ポイントと感じた代表的な記述を引用すると・・
” サービスが悪いからクレームになるのではない。期待が高いから、クレームになるのだ。
多くの会社は、期待を高めすぎて失敗する。「これもできます」「あれもできます」と期待させる。
理由は、買ってくれないと思うからである。ところが、これは逆効果。
最近のお客は、「うちはサービスも価格も、品質もすべていいのです」という会社を信用しない。
そう言われれば言われるほど、胡散くさく聞こえる。
何でもかんでも期待させるよりは、できないことは、できないと言う。
「うちは、何と何はできません。その代わり、これは最高です」と言ったほうが、真実味がある。
お客は、はじめの「何と何はできません」という部分を聞いて、「この会社は正直だ」と思う。
その結果、次に続く言葉、「これは最高です」を、無条件で信用してしまうのである。 ・・中略・・
お客の期待を戦略的に下げることが重要だ。お客との期待を落としておいてから、それ以上のサービスを提供する。
すると・・・しゃべりたくなる。” (p58-59)
今回は、ここまで。
誰しも共感出来る、であろう口コミしたくなる気持ち
「しゃべりたくなる」に至る事の経過は、経験からよく実感出来る事で、
この本を読んでいなくとも、そのタイトルが頭に記憶されるくらいになっていた背景には
神田さんらしい、ビジネスの定説を逆説的に捉えたところにあるのだと感じています。
本の残りは100ページほど。更に「口コミ」について、その特質をよく心に留めていきたいと思います。