江本孟紀さんと舞の海秀平さんが語ったプロ野球界、相撲界そして日本:『己も国も自信を持たなきゃ!』読了

野球解説者 江本孟紀さんと元小結で大相撲解説者 舞の海秀平さんの対談が収録された『己の国も自信を持たなきゃ!』を読了。

2021年7月出版の著書ながら、この時期に手に取ったのは先々月(2024年8月)末に開催された

<< 2024年8月31日投稿:画像は記事にリンク >> 『いよっ!えどっこだねぇ』発売記念トークイベント ふくだのぞみさん × 畠山健二さん × 舞の海秀平さん 参加記

トークイベントに舞の海秀平さんの登壇があり、サイン貰い用に当日書店で買い求めていた経緯。

対談を務める二人に共通点を見出すとすると・・ それぞれの出身(NPB日本相撲協会)へのストレートな物言いする立場ということになりましょうか。

本書は

 はじめに   野球と大相撲 ー コロナに負けてたまるか!

 第一章 「ハングリー精神なき日本」に明日はあるのか?

 第二章 日本のスポーツ界はもはや「仲良しクラブ」か?

 第三章 中国に物言えぬ日本は「独立国家」なのか?

 第四章 「暴走するメディア・SNS」から日本を救えるか?

 第五章 大相撲と野球の伝統は破壊されるのか?

 おわりに  「ルールに従う優等生」から「ルールを作る側」になろう

の章立てに沿って、ご両人の経歴に沿って論が交わされていきます。

読みどころは、

” 舞の海  自分も体罰を受けたから下の子たちも同じように扱うというような、言わば「暴力の連鎖」を肯定するつもりはありません。ただ、いま振り返ると、あの理不尽さを経験して良かったなと。人生、その後も「理不尽」な目にたくさん遭遇したときに、免疫ができているほうが強いですから。大学時代に引っぱたかれておくと、プロになって親方にバーンとやられても「あ、やっぱりここにも鬼がいたか」と思えて、そんなにショックは受けません(笑)。 “(p51)

” 江本  だから、弱みを見せたらダメなんです。殴られるときは、「来たな」と感じたら歯向かうぐらいの気概というか姿勢を時には見せるんです。「いまは先輩だからやらせてやるけど、後々、どうなるかわからんぞ」という雰囲気をつくる。そうすると、向こうも手控えてもう手を出そうとしません。”(p53)

とお二人がそれぞれ身を置いた環境で頭角を現した一因であろう周囲、社会との向き合い方に、

” 江本  憲法問題でいちばん不思議に思うのは、反米を唱える左派がその嫌いな米国が押し付けた憲法をどうして後生大事に守ろうとするのか、ということです。”(P115)

江本孟紀さんの場合、元参議院議員というバックボーンからくる鋭い指摘(日本が抱える課題)に、

期待に沿って(上記)トークイベント後、舞の海秀平さんに頂戴したサイン

最も刺さってきたのは

” 舞の海  はい。興行という観点から見れば当然のことですが、大相撲は特に「お客さん本位」の競技だと思うんです。一言で言うと「勝った、負けた」ではなく、いかに観客を楽しませるかということに力を入れます。別の言い方をすれば、主催する側と相撲を取る力士、それに観客が一体となってつくりあげる「和」の競技なんです。”(p157)

に、

” 舞の海  いや、相撲界には昔から進取の気性を持った親方がたくさんいました。高見山関をハワイから連れてきたのは、4代目高砂親方(第39代横綱・前田山英五郎)です。型破りな方で、休場中に日米野球を観戦して横綱をクビになった(シールズ事件/1949年)かと思えば、GHQや協会を説得して米国へ相撲を広めに行ったり(51年)、女人規制である土俵に女性をあげたり(元女相撲大関・若緑の引退式/57年)。次々と常識を超えた行動をとられました。弟子で初めて横綱に昇進した朝潮(太郎)関は、当時(49年)米国の占領下だった徳之島(奄美群島)から密航して入門したそうです。そういう方だったからこそ、外国人をスカウトしようという発想が浮かんだのでしょう。”(p152)

といった幼少の頃から何となく見ていて知ったつもりの相撲界の実情=時代に合わせ(他の競技と異なる)変貌を遂げてきたことは本書で知り見方を改めさせられ、本書結びの総括的

” 舞の海  (省略)いいかげん私たちは「ルールに従う優等生」から「ルールを作る側」にならないといけないと思うんです。

江本   その通りです。”(p221)

読者への提言とともに、読前の期待が低かった分、学びを得られ、また考えさせられ、

付箋箇所多数に及びました。

読書中、たくさん付箋に手が伸びていきました ^^


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