遠藤保仁さんが振り返ったサッカー選手として駆け抜けた26年:『7』読了

Jリーグではガンバ大阪をAFCチャンピオンズリーグ優勝などに導き、日本代表でも国際Aマッチ出場が歴代最多152試合出場を果たし、2024年1月9日、移籍したジュビロ磐田で現役引退を発表された遠藤保仁さん(現 ガンバ大阪コーチ)の半生記『7』を読了。

Xで発売を知り「サイン本・・」 と思っていた折、入手機会を捉え手元に引き寄せていた著書。

サッカーの原点 〜  Jリーグ30年を飾るMVP

本書は、1998年から2024年の年ごとに

CONTENTS(=目次)、各年の振り返りに戦友たちが語る遠藤保仁で構成

遠藤保仁さんの端的な振り返りを軸に構成。

本編では、

“「試合をして体が疲れるのは当たり前。終わったときに「今日はよく考えてサッカーしたから頭が疲れたな」って思えるようなプレーヤーになりなさい」と言ってくれた。”(p39)

と原点と位置づける桜島サッカースポーツ少年団の指導者 藤崎信也先生からかけられた言葉に、

” いずれにしても誰が見てもわかるヒーロー的な活躍をするというより、演出家がいい。陰でゲームを操っている存在、目立たないけれど、いないと回らない。そんな選手になりたかった。”(p.58)

と目指したサッカー選手像に、

個人的に遠藤保仁選手が意識に刺さってきたのは特徴的なペナルティキックの蹴り方で、

” PKに関しては新しい蹴り方をいろいろと試していた時期だったと思う。練習でディフェンダーの足のどっちに重心がかかっているのか観察していたことがある。

例えばディフェンダーの右足に重心がかかっている場合は、右足のすぐ脇が狙い目だ。咄嗟には対応できないから。「これって PKに応用できるかもしれない」

完全な思いつきだが、実際にキーパーの重心だけに集中して蹴ってみたら、インサイドのゆるいボールで、どれだけコースが甘くても余裕で入った。キーパーも体重がかかったほうはセーブできない。具体的にはキーパーの脛と脹脛の間、ソックスの動きというか傾きなどを見て、どちらの足に重心がかかっているか判断した。

キーパーが動かなかった場合は左右どちらかの端に蹴る。蹴ってからキーパーが反応しても基本的には届かない。

「これ、ほぼ100パー入るじゃん」”(p55)

2008年から話題になったという2003年のコロコロPK誕生秘話に、遠藤保仁選手のキャリアを象徴するハイライトで、

” この年の5月、Jリーグ30周年を記念した「J30ベストアウォーズ」が発表された。カズさん(三浦知良)や井原(正巳)さん、(川口)能活さん、俊(中村俊輔)などがベストイレブンに選ばれ、その中で僕はMVPをいただいた。30年の中での1番。それも、今まで歴史を作ってきた先輩たちを含めた中で。”(p231)

という日本サッカー界のレベルを押し上げたフットボーラーの概要をコンパクトにおさらい出来、読み応え十分。

入手本に書かれていたサイン

遠藤保仁のリアル

読前のイメージ、

“「マイペースで、飄々としている」という遠藤のキャラクターは東口から見ても変わりないが、「根は誰よりも負けず嫌い」と強調する。”(p272/註:東口順昭選手)

に、

” 僕は基本「ストレスゼロ」なので、”(p210)

といった遠目から感じていた等身大の姿は維持されつつ、本書を通じ時代を築いたフットボーラーのリアルを効率的にアップデート出来ました。


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