日本にとどまらず海外でもファンを獲得しているスリーピースロックバンド人間椅子を率いる和嶋慎治さんの『無情のスキャット 人間椅子・和嶋慎治自選詩集』を先週末(2025/1/18)読了。
サイン本入手機会を捉えて手元に引き寄せた著書。本書は先日アーカイブ視聴した刊行記念イベントでのご説明によると、
出版社の百年舎からオファーを受け人間椅子デビュー35周年という節目と絡め出版に至ったという経緯であったかと承知。
第一章 デビュー前
第二章 1990 ー1993年
第三章 1995 ー 1998年
第四章 1999 ー 2003年
第五章 2004 ー 2007年
第六章 2009 ー 2011年
第七章 2013 ー 2017年
と年代によって章で区切られ、期間内に発表された曲の歌詞が掲載される前に各2ページで
“「鉄格子黙示録」は十七歳の時に書いた。作詞作曲は十五歳の頃より始めていたものだが、そのほとんどが恋愛ソングであった。それが、ある神秘体験 ー UFOとの個人的遭遇 ー をきっかけに、がらりと作風が一変した。迫り来る世界の危機、大転換期を迎えるであろう人類に対して、何かしらの警鐘を鳴らさなくてはならないとの使命感に駆られたのである。”(p008)
や
” ファーストアルバムを作った時点で、歌詞のストックは尽きた。セカンドアルバムはまだファーストからの流れですらすらと書けたが、本当の産みの苦しみが始まるのはこれからだった。詩情を離れ、原典に寄り過ぎることもしばしばだった。セールスが落ち、メジャーレーベルから契約が切られたのも、当然の帰結だっただろう。”(p023)
といった具合で簡潔にまとめられたバンドが辿ってきた足跡に創作の背景が、人間椅子入門者にとっては読みどころで興味深かったです。
軸となる歌詞は
” 火事だ火事だどこ火事だ
心の中の一軒家
火事だ火事だここ火事だ
焼け陥ちる前に火を消して誰か “(p036 / 心の火事)
と分かりやすく曲への関心刺激されるものあれば、
” 血の池地獄に打ち寄す水は
輪廻の川を渡って来やる
賽の河原の小石の塔は
積めど届かぬ浄土の願い “(p110 / 恐山)
と読みの分からぬ難解な漢字を含め人間椅子に抱いてイメージと符合するような詞も散見され、今回入口に立ったことで、和嶋慎治さんの自伝『屈折くん』への興味と合わせ、深みに歩を進めていくや否やこれからですね ^^