ミスター赤ヘルこと、長く広島東洋カープで主軸、現役を退いてからも指導者として現場を牽引された山本浩二さんのトーク & サイン会に参加。
著書の上梓に合わせて企画されたもので
場所は、昨年(2014年)元広島東洋カープの高橋慶彦さんのサイン会と同じく八重洲ブックセンター。
慶彦さんの時は、サイン会(希望者は写真撮影可)で150名程度の開催規模ではなかったかと思いますが、
今回は、8Fのセミナールーム内の開催でトークショー付き。限定80名との事で、早々に満席となる人気振り。
参加のきっかけは月初、銀座方面への出掛けた際の帰り道に店内へ立ち寄り、運良く本イベントの開催を知った次第。
気さくなスーパースター
定刻の19:00になり、「ふら〜っ」とした感じで浩二さんが登場。
壇上に展示されたユニフォームの年次を「1986年」と確認され、ユニフォームがお披露めとなった経緯(マネージャーが無作為に選んだとの事)や
今シーズンのカープの戦いぶりなどから、講演というより目の前の人たちに話し掛けるような懇談形式でスタート。
個人からチームへ、プロとしての進化
8月17日時点の首位(阪神)とのゲーム差が、最後に逆転優勝を遂げた24年前と同じ「5.5」であった事に言及され
「果たして、その時の再現が起きるか?」といった問題提起があり、24年前は選手が自発的に集まり、
突如としてベンチで声が出るようになるなど、チームが一丸となり、優勝へ向かってスパートしていったそうな。
方や今年はその時と比較すると凡ミスが多く、浩二さんの中では予想の域を脱しないながら、
24年前の再現への手応え、予感といったものには至っていない様子。
打率などリーグで上位の成績を残していながら、余りに1点差負けが多い状況を指摘し、精神面のレベルアップが望まれるとも。
話しは現役時代を振り返られ、浩二さんがカープへ入団当初、毎年(最)下位争いに甘んじていた時代は
チーム成績というよりは、意識が個人(成績)に向かいがちで、チームが負けても個人で良ければ年俸は上がるという状態。
それが例年「鯉のぼりの季節まで」と言われていたチームが夏頃まで優勝争いをするようになった初優勝を遂げた年には
その精神的な辛さから、例えば同学年のライバル衣笠選手(当時)に対しても初めて「打ってくれ!」と思うようになり、
チーム全体で意識の転換が図られ、優勝へ突き進む原動力になった。
そこから、浩二さんと盟友の衣笠さんの個人的な付き合いも始まるようになったとの事で、
要は優勝する事は並大抵の事ではないと。何よりチームがまとまって相手に向かっていくような状態になれるかどうか。
今シーズンは、このまま阪神が逃げ切ることはないだろうとの読みで、
これから精神力、主力打者が如何に確率良く結果を出せるか?といった要素が絡み合って、ペナントの行方が決せられるであろうと予想。
一流と二流を分かつ差
その他、現役時代のお話しや面白かったのが打撃論に関して。元ミスタータイガースの掛布さんも同様の表現を用いていましたが
打者は投げ込まれてくるボールに対して如何に恐怖心を払拭して、精神的に立ち向かっていけるかという事。
その中で一流打者の証、3割の数字を如何に残していけるか。技術のポイントは右打者の場合、左肩が開かないようにする事。
不振に喘ぐ現役選手を例に出し、ボールへの恐怖心から肩が開いた状態で、「復活はないであろう」といった具合に
基準が誰しも分かるように明確で、その分かりやすさから一流たる由縁、慧眼の凄みを感じました。
なお、個人名を伏せているのは、選手、監督、コーチの方々は意外とインターネットの書き込みを目にするそうで「せっかく書くなら、激励にしてくれ」という要望を受けて(笑)
野球少年の時を呼び覚まされる
30分程度のトーク、来場者からの質疑を経て、80名前後のサイン会へ。
それぞれの方に為書きをされるなど、結構な所要時間でしたが、サイン中のそれぞれの方からの質問に気軽に応じられるなど、
スーパースターを間近に感じことの出来る稀有な機会でした。
因みに私の質問は、「江夏の21球」の際に(浩二さんが)守備につかれていて、どのような心境であったか、
また、著書でカープに対して熱い思いを述べられている(高橋)慶彦さんの現場復帰の可能性について質問させて頂きました。
前者は「ノーアウント満塁になっても逃げ切れると思っていましたか?」の問いに「ないない」。
後者は「球団が決める事」との事でした。なお、浩二さんは現在、カープの社外取締役という立場。
阪神ファンでありながら、昨年は高橋慶彦さん、今回、山本浩二さんと
カープの黄金期の主力を担った選手と直に触れる事の出来る機会が2年にわたって続き、
両選手が一番眩しかった頃はカープに存分に魅了された野球少年としては、憧れの気持ちを呼び起こされる一夜となりました。