世界一周で193ヵ国を旅するなどしたトラベラー、起業家などの顔を持つクリス・ギレボーの処女作『1万円起業』を再び読了.-
初回の読了記を2014年2月に記していたことから、1年10ヶ月ほどのインターバルで目を通したことに。
再読のきっかけは、先日読了記をアップロードした『自分再起動』の中の
「監訳者のことば」で(同書監訳者の)本田直之さんが・・
” これからの時代、「自分のストーリー」こそが、自己実現の文脈だけでなくソーシャルライフにおいても、
「日常」にとって代わる最優先事項になる。そのことを、最高に面白いことをやっている人たちが、世界中で証明しはじめているのです。
そういう意味で本書は、著者クリス・ギレボーの前作『1万円起業』の続編、というよりも、むしろこちらが入門編、というとらえ方もできるでしょう。
世界に旋風を起こし、ここ日本でも14万部のベストセラーとなった『1万円起業』は、
元手をかけずに年収500万円以上のお金を稼いだ1,500人に徹底的にインタビューし、その方法をまとめた本です。”(位置No.41、47/数値は電子書籍のページ数に相当、以下同様)
と、『自分再起動』→『1万円起業』の順で読むと良いとの指南があり、
『1万円起業』の内容も「あれ?、どうだったかなぁ」といった状況で、丁度良い頃合いかなと、再び手に取ったという経緯。
時代の風に乗った、お金の稼ぎ方
まず、本書でも冒頭、本田直之さんが「監訳者のことば」で・・
” この本に書いてある方法を知っておかなければ、あなたはとてつもない損をします。
金銭的な意味でもそうですが、もっと大きな視点で見て、「生き方の選択」レベルでの話です。
・・中略・・
その方法とは、まったく新しいお金の稼ぎ方です。起業といえばそうなのですが、あなたがいま思い浮かべたような、昔ながらの起業ではありません。
勤めていた会社を一念発起して辞めて、一生懸命に貯めてきた資金をつぎ込んで、ワンチャンスに賭けるー起業という言葉からは、そんな「人生の一大事」がイメージされるのではないでしょうか。
でも、そんなやり方は、もはやナンセンスです。なぜなら、リスクも資金もなしに、誰でもビジネスをスタートできる時代が始まっているからです。
本書の方法は、「起業」とか「独立」という言葉から想像されるあらゆる問題点と無縁、といっても過言ではないでしょう。
貯金はいりません。
会社を辞める必要もありません。
主婦の方でもできます。いや、むしろ向いているかもしれません。
年齢も問いません。定年が近いシニアの方には、セカンドライフの大チャンスでしょう。
話がうますぎるように聞こえますか?
でも、本書を読み終える頃には、起業なんて考えたこともなかったあなたが、こう思うでしょう。「これは、やってみなければ損だ」と。
本書の原題は THE $100 STARTUPです。
邦題がズバリ示す通り、ごくごく少額の資金からビジネスを始めて、思い通りの生活を手に入れた人たちの実例集です。”(No.16、24)
という時代認識に本書についての手引きが示されていて、新たな世界への好奇心を刺激されます。
因みに、実例として取り上げられている主な条件は・・
” ・初期資金は100ドル(1万円)〜1,000ドル(10万円)
・年間の収益5万ドル(500万円)以上
・資格や特別な技能は必要としない
・ごく少人数(自分1人、もしくは友人数人との場合がほとんど)
このように、まさに「誰でもできる」が大前提。”(No.31)
この敷居の低さが示されていたからこそ、出版業界で3万部売れればベストセラーと言われる中、14万部も世に出たのだと思います。
価値に気付き、自由を得る生き方
本編では、まず著者のクリス・ギレボーが読者へ
” 本書を貫く2つの主なテーマは自由と価値だ。自由は誰もが手に入れたいと願うもので、価値はそれを実現するための方法といえる。
夢を実現させ、心底好きなことをして豊かな生活を送る方法を見つけた人たちの考え方と実践を紹介し、あなたもその仲間入りをしてもらいたいのだ。”(No.127)
” 世界中で「ふつうの人たち」が伝統的な雇用から抜け出し、自分の思い通りの人生を歩んでいる。
たいていは十分な訓練を受けず、ほとんどの場合、満足な資金もないのに、だ。”(No.242、250)
というメッセージを送っています。本書の取材対象者1,500人に徹底的に取材した結果(「監訳者のことば」と重複)、
” 方法自体は新しくなくても、今までと決定的に違うのは、ビジネスを立ち上げ、顧客をつかむまでにかかる費用の少なさと期間の短さだ。
思いついてから起業するまで、現在では100ドル(1万円)未満の資金と、1か月足らずの期間があればいい ー 本書に登場する起業家の誰に聞いても答えは同じだった “(No.242)
なお、取材対象者は
” 半数以上は過去にビジネスの経験がまったくない人たちだった。(No.286)”
そこで、1万円起業を成功させた人たちの共通項を抽出すると
” あなたが好きなことや得意なこと(その両方を兼ね備えていればいちばんいい)と、他人の興味が重なる部分だ。
その他人の興味は、喜んでお金を払うほど強いものでなければならない。
・・中略・・
情熱やスキルと他人の興味が一致する2つの円の共通部分ならば、自由と価値に基づいたマイクロビジネスが誕生する余地がある。”(No.294)
このことを土台に、
” 自分が持っているすべてのスキルのうち、他人の役に立ちそうなものについて ー 特にそれらの能力の組み合わせについて ー ちょっと考えてみるといい。”(No.320)
こればアメリカの人気漫画『ディルバート』の作者スコット・アダムスが自身の成功を・・
” 「僕の芸術的才能はないも同然、文章力は基礎レベル、ユーモアのセンスは月並みで、ビジネス経験はごくわずか。それでも漫画家として成功できた。
なぜかって考えてみたら、『ディルバート』シリーズは、この4つの能力全部を組み合わせたものなんだ。
世の中には僕よりすぐれた芸術家や才能のある書き手、面白いことを考えるユーモア作家、経験豊富なビジネスマンは山ほどいる。
めずらしいのは、その4つのささやかな能力が1人の人間に集まったことだ。価値ってものは、そうやって生まれるんじゃないかな」”(No.320)
と振り返り、このような体験談に方法論が、本の中で簡素に順を追って説明されていきます。
また、本書で描かれている未知の部分に読者が下記のような躊躇いを感じたとしても
” ビジネスを始めるいちばん難しいやり方は、自分の思いつきが顧客の心をつかめるかどうか心配し、迷いを抱えたまま進むむことだろう。
逆にもっとも簡単な方法は、人が何を望んでいるのかを先に突き止め、それを提供する手段を見つけることだ。”(No.350)
と、本がクリス・ギレボー自体が辿ってきた道のりの振り返りでもあるため、読者目線に立って先に進んでいけるように本が構成されています。
再読により得られた広がり
前回の読了記は参考とせず、普段通りに読み終えた後の(序盤の)要点を整理しましたが、
神田昌典さんが言われる
「人も本も必要な時に巡ってくる」
の法則?で、今回改めて訪れた出会いのタイミングで本を読んでみると、アンダーラインの引き方も、初回と結構異なっていて
同じ本でも違う読み方をしていることが分かりました。本書の影響力を考慮すると、
世の中的には本書で学んだことを実践に移して成功している第2世代も出始めているとみられ、
新たなライフスタイルの構築を模索している自分としては、今一度、向こう側世界からのいざないに思慮を巡らされました〜