『豪州読本:オーストラリアをまるごと読む』のおさらい編。
回を重ねて13回目は「第七章 暮らしぶり ー オーストラリアのライフスタイル ー」の続きで、
アウトドアライフと、車社会に関する内容の紹介(抜粋)です。
アウトドアライフ
” 豪州人はアウトドア志向である。天気がよければ外に出て、レクリエーションやスポーツを楽しむ。
スポーツはすることも見ることも盛んである。週末にはほとんどの国民が何らかの形で参加する。
住んでいる近くに施設もあり、またコストもほとんどかからない。
▪️アウトドア志向:サーフィン
夏になるとビーチでのんびりと肌を焼く。若者はサーフィンを楽しむ。日本より一般的である。ビーチへのアクセスが大変よい。
もともとサーフィンは20世紀の初頭にハワイから伝えられたが、オーストラリアの若者の間ですぐに人気を博し、
世界のサーフィン大会でもオーストラリアのサーファーの活躍が目立つ。(No.2578、2586/数値は電子書籍のページ数。以下同様)
▪️アウトドア志向:バーベキュー
” バーべキューは定番であり生活の一部になっている。友達同士や家族で楽しむ。
どの家にも庭にも庭にバーベキューセットが置いてある。移動式のもの、コンクリートやレンガで固定されているもの、燃料も薪、ガス、電気、石油といろいろである。
もちろん公園、ビーチなどにもバーベキューセットが設置してあるので、誰でも手軽に利用できる。
バーベキューの準備、料理、後始末はもっぱら男の役割である。食材に関しては普通、それぞれが持ち寄ってくる。
バーベキューのときだけは料理を男性に任せ、女性たちは固まってぺちゃくちゃおしゃべりをしている。
話題はもっぱらゴシップ、これがオーストラリア流である。”(No.2622-2630)
▪️アウトドア志向:ハイキング
” ハイキングも週末レジャーの定番である。週末になると都会から田舎へ散策に出かける。
サイクリングやジョギングも盛んである。また休暇には自動車で方々を旅行することが、オーストラリア人にとっては典型的なライフスタイルである。
キャンプ道具を車に積んで各地でキャンプしたり、キャラバンを牽引して各地を移動したりして休暇を楽しむ。
キャンプ場やキャラバンパークは全国に整備されている。中にはレストラン、映画館、プール、サウナ、ゲームセンター、スポーツ施設などがあって、リゾート化しているところもある。(No.2630)
▪️日焼け対策
” アウトドアで活動をするときに注意しなければならないことがある。オーストラリアでは直射日光が大変強い。
また、冷蔵庫やスプレーに使用されているフロンガスの拡散で、南極圏上空のオゾン層の破壊が進んでいる。
生物に有害な紫外線は、本来このオゾン層に吸収されるが、オゾン・ホールが生じると紫外線は直接地上に到達するので、皮膚がんが増える。
オーストラリアは皮膚がんになる率が世界で最も高い。日焼けには十分な対策が必要である。
紫外線は、雲も通ってくるので陽が出ている日はもちろんのこと、夏場は曇りや雨の日でも日焼け対策を怠らないことが大切である。
日焼け用のクリーム、日焼け用の衣服、帽子などの用意を忘れず使用することは一般常識になっている。
海岸で見かける看板に「スリップ・スロップ・スラップ・ラップ( slip slop slap wrap)」というのがある。
スリップというのは、長袖のシャツを着る、スロップは日焼け止めを塗る、スラップは帽子を被る、ラップはサングラスをかけるという意味で、外出するときに遵守するスローガンである。
いったん日焼けすると、5年以内に皮膚がんに冒されるといわれているのでなおさらである。
夏場にはハエが大変多い。所かまわず飛び回る。ビーチに寝そべっていると数分も立たずに体がハエで覆われる。
路上、公園、庭どこにいてもハエが徘徊している。煩わしいのはハエよけのスプレー、またいろいろな昆虫が徘徊するので虫除けスプレー、消炎用と虫刺され用のローションの類が常備品である。”(No.2658-2676)
車社会(製造業、免許取得、税、車検 etc)
” 豪州での公共交通システムは、日本のように充実していない。バスはまあまあであるが、どうしても都心から放射線状に伸びているので、横のつながりが少ない。
郊外から隣の郊外に行くには、いったん都心に行って、回り道をしなければならないのが一般的である。
鉄道網はそんなに発達していない。地下鉄にいたってはオーストラリアの都市でシドニーだけである。
この国は大陸が広く、人口が少ないので公共交通網を整備するにはあまりにもコストがかかりすぎる。車と飛行機の国である。
道路はよく整備されている。日本でいう高速道路というのはほとんど存在しない。いったん都市を出ると次の都市まで信号もない。
道路も直線コースなので、スピードは出る。対向車の数も少ない。大陸の一部を除いて山岳地帯はなく、平坦なだだっ広い平野、荒野である。
コンクリートよりアスファルトの道路である。しかし、舗装率は半分に過ぎない。(No.2684)
▪️自動車製造業
” この国で自動車を造っているのは3社で、アメリカのGMとフォード、それにトヨタである。
三菱自動車はそれまで続いた生産を2008年に中止した。国産車と輸入車の割合は25%対75%。
年間の新車登録台数は約100万台で、日本の6分の1程度である。ここでも日本車のその燃費効率の良さ、品質の良さで人気が高い。約5割のシェアを獲得している。”(No.2702)
なお、自動車メーカーの製造部門は各社2017年末までに撤退の方針が明らかとなっています。
▪️運転免許取得方法
” オーストラリアは日本よりずっと車社会であるから、車を使わないと生活に大変不便をきたす。
日本で国際免許を申請取得すれば、12ヵ月まではオーストラリアでも運転はできる。
また日本の免許証にその正式な翻訳を添付すれば、ほとんどの州で運転ができる。
クイーンズランド州のように翻訳をつけなくても州内で運転ができるところもある。左側通行なのでなじみやすい。
一般の交通ルールは日本と大差はない。ロータリーや信号のない交差点などで右側優先ぐらいが主な違いである。
現地で新たに運転免許を取得するのはなかなか複雑である。各州によって法令が微妙に違うので州の法律を知る必要がある。
一般的には年齢16歳になると取得準備ができる。まず運転者としての道路法規や安全のテストを受ける。
これに通れば習練用ライセンス(L)を取り、免許を持っている人に隣に座ってもらい公道上で練習をする。
最低50時間の練習をし、路上での運転試験に通って、習練用ライセンス保有期間6ヵ月以降に今度は仮免1(P1)を取る。
この時点で17歳以上(25歳未満の人)でないといけない。次のステップである仮免2(P2)を取るためには、
仮免1で最低12ヵ月の練習研修期間を経て、危険予知防止テストなるものを受け、これにパスしなければならない。
うまく仮免2が取れれば、こんどは最低24ヵ月の研修後、運転者資格テストを受け、これに通って初めて正規の運転免許証が取れるのである。
だから最低でも3年かけなければ正規の免許証が取れない仕組みである。ここまで約400ドルかかる。
以上説明した仕組みはニューサウスウェールズ州での事情である。
今でも、日本のような自動車教習所はほとんどないので、独自に運転技術、道路法規を勉強をし、運転免許を持っている身内、友達や知人の助けを得て取得するのである。
テストも厳しくそれぞれのテストで90点以上を取る必要がある。
道路交通法は州政府の管轄であるので、州がそれぞれ独自に決めており、州の間で多少の差異がある。
免許が取得できる年齢、試験内容、経費、交通違反罰則など詳細に関しては各州それぞれの状況を知る必要がある。
日本の免許証を所持している人が現地に住むようになれば、現地の免許証に書き換えができる。
車社会なので日本より極端に交通事故死が多いと思われるが、必ずしもそうではない。
ちなみに、年間の路上での交通事故死は、1,601人で10万人に対して7.6人の割合である(日本では、2008年に5,155人で、10万人に対して4人であった)。(No.2702-2730)
▪️税金
” 車に関する税金は、州、準州、首都特別地域政府に納めるもので、登録税、検査料、印紙税がある(それぞれの政府によって適用方法、税率、税額が異なる)。
さらに、日本の自賠責保険と同等の強制保険料を支払う。ただし、日本では存在しないが、価格が5万7,000ドル以上の高級車に関しては、贅沢車税として超えた部分について33%が税として徴収される。”(No.2761)
▪️車検制度
” 一般自家用車に関しては、日本のように車検制度がない。いったん車を購入し、登録時の安全検査証明書を取れば、後は所有者の責任で車の整備をしなければならないい。
安全検査証明書の必要ない州もあるし、州の一部、特に辺鄙な地方などでは強制されない。”(No.2761)
▪️車輌価格 & 自動車協会
” 車の価格は日本と比べて日本円換算でそんなに違いはないが、現地の所得水準では日本より割高になっている。
路上を走っている車は中古車が比較的多い。車の平均年齢は10歳である。
オーストラリアでは、一台平均1万5,000kmを1年間に走行している。1年のガソリン代が、約16万円である。
人口の90%以上が毎日、足として自分の車を使用している。
日本のJAF(日本自動車連盟)に匹敵する自動車協会が、別個に各州・準州に存在する。合計8個の協会がある。
さらに、それぞれの協会、国を代表して、国際的な交渉、提携、国内の交通安全キャンペーン、教育、広報活動などを受け持っているオーストラリア自動車協会が存在しているので、合計9個である。
もちろん1つの協会に属していれば、互換性があるのでどの協会でもサービスは受けられる。
会員は普通3種類あり、年会費はサービス内容により、約1万円から3万円の幅がある。
それぞれの州、準州の協会のサービス活動内容は共通している部分が多く、また日本のJAFと比べて大差ない。(No.2771-2779)
結構な分量(文字量)となり、今回はこの辺りでと思いますが、第七章は内容が充実しており、
まだ「食文化」「教育(留学等)」といった目ぼしい項目が残されているので、次回(以降)に継続したいと思います。