今年(2016年)になってからジェームス・ブラウンに始まり、スライ・ストーン、ジミ・ヘンドリックス、レミーと
ミュージシャンの生涯を辿った作品を見ていますが、その過程で「(他に)誰かいるかな?」と出てきたのが・・
Ozzy Osbourne:オジー・オズボーンの生涯に迫った『オジー降臨』
但し、作品の存在は知ったは良いが、店舗にも・・、iTunesにも・・、amazonにも、レンタル版のストック無し。
見る気が満々になっていたところ「仕方ないか、、」とはならず、ヤフオクで物色した後に購入(送料込み、1,700円程度)。
週末の鑑賞を楽しみにしていましたが、91分の時間の経過が「あっ」という間に感じられる興味深い内容でした。
The Beatlesに衝撃を受け、ロックスターを誓った生涯
約2年かけてOzzy Osbourneをツアー中心に追いかけたドキュメンタリーで、Ozzyの息子のJack Osbourneの企画によるもの。
映画『オジー降臨』予告編
話しは、社会に出る前、窃盗の罪で収監され職を転々とし、将来に希望を見出せぬ中、The Beatlesと出会い、ロックスターになることを決意といったところからスタート。
同級生などの縁であったメンバーとBlack Sabbathでキャリアを始動。
人が怖い思いをしたくて映画を見に行くことに注目して、音楽でも他バンドと異なる(その視点での)アプローチを採り入れ、これが狙い通りとなり、程なくロックスターに登り詰める。
そこまでは良いが、元来の自己肯定感の低さ、自信の無さなどから道化と化すなどしているうち
話題性を提供したり、伝説を築くなどの注目を集めることになった反面、行き過ぎた行動が問題を起こしたり、物議を醸したり、
また、自分自身の弱さを和らげるために酒やドラッグに溺れていくなど、アップダウンでもその下げ幅に打ちのめされるように。
奥さんのシャロン・オズボーンが作品の中で語っているように、「あらゆるものを手に入れるが、相次いで失っていく」という人生で
華やかで誰しも憧れるロックスターの座も苦悩に満ち、普通の人間或いは人間の弱さをまざまざと見せつけられました。
これだけの名声、経験を経ても今でもステージは怖いし、上手くいかないと完璧主義者の反動から落ち込んでしまうそうな・・。
ロックスターの内側が赤裸々に
実際の姿は、語られた内容に輪をかけて生々しかったであろうと、推量の及ばぬところも大きいと思いますが、
Ozzyが(息子)Jackに「ありのままを撮れ」と命じたように、恥も外聞もなく、Ozzy自身の振り返りに軸に家族、所縁のあるミュージシャンの赤裸々な証言によって構成されており、
浮き沈みの激しいミュージックシーンの中で、本人の闇はどれほど深かろうとも、ファンは決して見放すことのなかったロック史のアイコンの実像、
本作もまた、時代を築いたロックスターの生涯を収めた貴重な作品で、鑑賞後にはライヴ後の立場とは違った思いからよりOzzyのファンにさせられました(笑)
Lemmyの時(『極悪レミー』鑑賞時)は、ブレることがない自分自身と繋がっている強さのようなものが伝わってきましたが、
Ozzyの場合、弱さ、脆さが印象的で、また、それに家族、周囲を巻き込んでという悲哀があり、両作品を見比べる楽しみもあるようにも感じました。