” 「アジアシリーズを再開させ、オーストラリアで開催を」
――過去2シーズン、社会人野球のホンダ硬式野球部から選手が派遣されていますが、社会人チームについては、どうお考えですか?
「ホンダは16/17シーズンはシドニー、17/18シーズンはアデレードに選手を派遣しました。
ABL各チームとも、NPBだけでなく社会人野球チームとの提携にも、非常に大きな将来性があると感じています。
双方が選手派遣し合えるような、可能性のある選手がどちらの国にもいるはずです。また、オーストラリアの気候を生かし、ぜひトレーニングキャンプにも来ていただきたいですね」
――エクスパンションのほかには、どんな改革を考えていらっしゃいますか?
「計画は、たくさんありますよ。大きなものはABL以外で、実はいま、CPBLにオーストラリア人のチームをひとつ持っていけないか、話し合いを進めているところです。
それから、われわれはアジアシリーズの再開を強く望んでいて、数年後にはぜひオーストラリアで開催したい。
そのためにも、それに見合う新スタジアムか、あるいは現存のスタジアムのアップグレードを考えています。
それができれば、年代別のワールドカップやWBCの地区予選など、大きな国際大会をオーストラリアで開催することも可能になりますからね」
――ABLのリーグ発足の2010年から5年間は、MLBがABLの株75パーセントを持ち、その投資のもと、リーグを運営していました。16年にMLBがその株を手放し、BAが100パーセントの株主となって2シーズン。リーグの存続を危ぶむ声すらありましたが……。
「確かに、この2年間は厳しかったですよ。だからこそ、こうした思い切った改革につながったわけです。
ただ昨シーズンからABL中継の視聴率が――日本もそうなんですが、特に台湾で顕著に伸びているんです。
これは喜ばしいことですし、いかに野球が日本や台湾で人気のスポーツなのかをあらためて実感しています。
アジア地域を重視して連携を深めることは、経営面でも非常に大切であるといえますね。厳しい2年間を経て、今また成長を始めているところと理解してください」
「アジア各地域に選手を送り込みたい」
――今後のオーストラリア野球発展のためには、さらに何が必要ですか?
「やはり、ABLの発展ですね。スポンサー、放映料、チケットや物販の収益で、選手の報酬を上げること。
そしてオーストラリア人選手には、プロとしてプレーする機会をより多く与えてあげたい。
まだ多くのオーストラリア人選手は、ほかの仕事と掛け持ちで野球をしています。
彼らが“フルタイムのプロ野球選手”としてプレーできるよう、後押しをしていかなければなりません。
また先ほども申し上げたように、国内に素晴らしい施設を作って、トップエリートを育成できるようになることですね。
この3つが叶えば、代表チームはさらに強くなり、野球というスポーツの認知度も上がって、野球のすそ野も広がります。
わが国は、世界有数のスポーツ大国と言われています。いつか野球をオーストラリアのNo.1スポーツにするのが、最大のゴールですよ」
――今回の日本遠征の収穫と、今後の日豪関係について、お教えください。
「今回の遠征では、スティーブ・フィッシュ新監督率いる新チームの国際的なお披露目ができました。
また、東京都府中市とは今回の親善試合だけでなく、19年のプレミア12、20年の東京五輪でも事前キャンプ地とする契約を提携しています。
今回は市内の小学校で子どもたちと交流して、大歓迎してもらい、“まるでロックスターになった気分だった”と、選手たちもみんな喜んでいましたよ。
NPBやJABAともよい話し合いができ、この先各チームとの前向きな話し合いにつながりそうです。
両国は政治的にも、ビジネスや貿易面でも、また観光や教育面でも、重要なパートナー。
野球を通しても、これからさらに素晴らしいパートナーシップを築いていくことを願っています」
――ところでこれは質問ではなくお願いでもあるのですが、もっと積極的にオーストラリア人選手を日本へ送り込んではいかがでしょうか。
「そうですね(笑)。オーストラリア人選手は、大学からアメリカで野球をする選手も多いため、やはりアメリカが第一の目標になってしまうんですよ。
でも、私の仕事はオーストラリア人選手の仕事場を増やすこと。
オーストラリア人選手だからといって、アメリカ野球が合う選手ばかりではありませんし、日本で長く野球ができるのなら、それは彼らにとってもいいことです。
アメリカと、日本を含めたアジア地域に、同じくらいの数の選手を送り出せるようになるといいですね。
私は押しの強いCEOなので(笑)、選手たちにもそう言って、日本球界入りを勧めていきますよ」”(出典:週刊ベースボール ONLINE)