スコット・モリソン首相、外国関係法を制定へ。国益見合わぬ合意の破棄可能に
” オーストラリア政府は来週にも、外国政府と州や準州を含めた国内公的機関が締結した合意を、連邦政府が見直すことができる外国関係法案(Foreign Relations Bill)を議会に提出する方針だ。クリスマス前には成立させたい構え。
中国寄りのアンドリュース首相率いるビクトリア(VIC)州政府と、中国政府が結んだ現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する覚書を反故(ほご)にするのが背後にある標的とみられる。
法案では、中国など外国との間で州や準州が結んだ民間インフラ関連プロジェクト契約を見直し、撤廃することができる権限を外相に付与する。
見直しが適用されるのは、姉妹都市関係の締結から、法的拘束力の有無にかかわらないあらゆる覚書に及び、大学などの機関にも適用される見込みだ。
対象が大学にまで拡大された背景には、中国が実施する海外ハイレベル人材を国内に招致する「千人計画」への警戒もある。
該当機関には、外国と結んだあらゆる覚書を「棚卸し」する期間が6カ月与えられ、連邦政府の外務貿易相が新たに設ける機関が洗いざらい審査する計画。
国益に反すると判断された場合は合意を破棄することも可能になる。現在交渉中の案件も段階ごとに連邦政府の認可を得る必要があるという。
モリソン首相は「オーストラリアの外交政策や諸外国との関係は常に国益に沿ったものでなければならない」とした。
VIC州政府と中国は2018年10月に、貿易やインフラ開発、投資誘致などの拡大を目的に、一帯一路に関する覚書を締結。
年内の最終的合意を目指して交渉を進めていたため、連邦政府はそれまでに新法案を通過させる必要があったとみられる。
■外資買収法の改正も
連邦政府は最近も、海外からの投資審査を厳格化する動きを進めており、
外資買収法(Foreign Acquisitions and Takeovers Act)などを改正し、コロナ危機に伴う経済対策の一環として、外資による全ての買収案件をオーストラリア外資審議委員会(FIRB)の審査対象とする一時措置を施行。
また、新しい国家安全保障テスト(national security test)を導入するなどの動きが進んでいた。
表向きは特定の外国を対象としていないが、背景には中国への警戒感があるのは明らかとの見方が強い。”(出典:NNA ASIA)
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