失業率 − 2020年1月
” オーストラリア連邦統計局が発表した1月の雇用統計は、就業者数が3カ月連続で予想を上回る伸びを記録する一方、失業率はアナリストの予想を超えて上昇した。まちまちの内容を受けて豪ドルは下落している。
1月の就業者数は前月比1万3,500人増え、予想の1万人増を上回った。12月は2万8,900人増だった。
1月の増加分は、全てフルタイム。フルタイム就業者数が4万6,200人急増する一方、パートタイム就業者数は3万2,700人減少した。
失業率は2019年3月以来の低水準だった12月の5.1%から5.3%に上昇。予想は5.2%だった。求職者数が増えたことが背景。
労働参加率は66.1%に上昇。労働市場の余剰能力を示す不完全活用率は19カ月ぶりの高水準となった。
この結果を受け、豪ドルは1豪ドル=0.6650米ドルと、2009年3月以来の安値に下落した。
雇用の増加分の構成比率は心強い内容となったが、失業率の悪化に加え、前日発表の賃金価格指数の伸び悩みを受けて、追加利下げが必要との声が出ている。
BISオックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、ショーン・ランケーク氏は「今年の労働市場は、ある程度勢いを失うだろう。
雇用の伸びは2%未満に鈍化する」と指摘。「これにより現在の余剰能力を活用することが難しくなる。移行を助けるため、上半期に利下げがあるだろう」と述べた。
オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)はかねてから、ここ1年余り2.3%前後の水準にとどまっている賃金の伸びを加速させるには、失業率が少なくとも4.5%まで低下する必要があるとの見解を示している。
RBAは昨年、賃金が伸び悩んでいる労働市場の状況を主な理由として、3回の利下げを実施。
政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の0.75%に引き下げた。2月4日の今年最初の理事会では政策金利を据え置いたが、労働市場を慎重に注視していると表明した。
投資家の間では、RBAは当面、政策金利を据え置くとみられている。金利先物市場が織り込む来月の25ベーシスポイント(bp)利下げの確率はごくわずか。5月利下げの確率は40%織り込まれている。
市場では、次回の利下げは9月か10月との見方が多い。
ANZのエコノミストは「(RBAは)1月の失業率悪化に失望するだろうが、失業率は5.25%でおおむね安定しているとの認識を示す公算が大きい」と指摘。
「労働市場の先行指標は引き続き、今後数カ月の失業率悪化を示唆している。失業率の一段の悪化を背景にRBAは追加利下げに踏み切るだろう。利下げは第2・四半期の公算が最も大きい」と述べた。”(出典:REUTERS via Yahoo! JAPAN)