” 金銭的な余裕がない学生の中には、同じ境遇の人々と部屋を共有するルームシェアで家賃を浮かせている人もいますが、オーストラリアの留学生を対象にした調査によって寝室だけでなく「ベッド」を共有している留学生もいることが判明しました。
1つのベッドを複数人で共有しているこれらの人々は、他の人が寝ている時間帯は寝ることができない状況で暮らしているとのことです。
先進国の学校に通う留学生は、財政的な問題に苦しんでいるケースが多いことが知られており、ルームシェアをしている留学生は珍しくありません。
オーストラリアの研究チームが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが起きる前にシドニーとメルボルンに住む留学生7,000人以上を対象に行ったアンケートでは、なんと全体の3%に当たる218人が「自分のベッドを昼または夜の数時間しか使用できない」と回答したとのこと。
ベッドを共有する留学生の55%が男性、45%が女性であり、65%は職業大学や英語学校ではない大学に通っていました。
また、ベッドを共有する留学生のうち3分の1弱が低所得国・半分ほどが中所得国・15%が高所得国からオーストラリアに留学しており、60%以上が19~25歳の年齢層だった一方で30歳以上の留学生も11%含まれていたそうです。
興味深いことに、ベッドを共有する留学生は必ずしも「家賃が高すぎる」と考えているわけではないようで、「自分が支払う家賃は公正だと思う」という項目に同意しなかった割合は23%にとどまりました。
その一方で、ベッドを共有する留学生の51%が毎週の家賃を支払うことに不安を覚えており、この割合はベッドを共有していない留学生の35%と比較して明らかに高い数値となっています。
調査対象となった留学生らが通っている教育機関から40分以内に住んでいる場合、58%が1週間に250ドル(約2万7,000円)以上の家賃を支払っているとのこと。
ベッドを共有する留学生の40%は「家賃を支払うために食事などの生活に必要なものを買わなかった」と回答しており、同じ割合の留学生が「お金がなくて家賃が支払えなかったことがある」と回答するなど、家賃の支払いに苦労している現状も明らかとなっています。
また、ベッドを共有する留学生の48%が、家賃の支払いについての不安が研究に悪影響を及ぼしていると述べました。
ベッドを他人と共有しなければならない住環境は厳しいものに思えますが、ベッドを共有する留学生のうち78%は借りている家に満足していると回答しています。
72%は「自分が借りている家はニーズに合っている」という項目に同意し、物件の手入れが行き届いていないことに不満を覚えるのは全体の10%ほどだったとのこと。
その一方で、「住んでいる家が狭い」と感じる割合はベッドを共有する留学生で27%、ベッドを共有していない留学生で12%でした。
また、ベッドを共有する留学生の23%はバルコニーやガレージを寝室として利用しており、35%が「住んでいる場所の状態が研究に悪影響を与えている」という項目に同意しています。
なお、ベッドを共有していない留学生がこの項目に同意する割合は13%でした。
ベッドを共有する留学生のほとんどは家主や不動産業者と良好な関係を築いていると答えましたが、3分の1弱は「物件の基準やメンテナンスに不満を言うと退去を求められる可能性がある」という項目に同意し、住居の安定性に不安を抱えていました。
また、「去年1年間でホームレスになる可能性があると感じましたか?」という質問に対しては、ベッドを共有する留学生の37%が「はい」と答えており、ベッドを共有していない留学生の17%の2倍以上に上ります。
ベッドを共有する留学生の40%弱は、「住居を失う可能性についてのストレスが学術研究に影響を与えている」という項目に同意し、住居の不安定性が学問にも悪影響を及ぼしている可能性が示されています。
ベッドを共有する留学生のうち48%がお金を稼ぐために仕事をしており、この割合はベッドを共有していない留学生の17%を大きく上回っています。
一方、働く学生の大部分は低賃金であり、雇用形態も不安定です。
ベッドを共有する留学生の中で「自分は十分な給与の支払いを受けている」と感じているのは半分未満であり、4分の3は今の仕事が安全ではないと感じていたとのこと。
以下のグラフは、オーストラリア統計局が示した財政的ストレスを測る8つの質問について、ベッドを共有する留学生(濃い赤色)とベッドを共有していない留学生(薄い赤色)の回答を示したもの。
「電気料金の支払いに間に合わなかったことがあるか?」「お金を得るために持ち物を質に入れたり売ったりしたことがあるか?」「金銭的な事情でご飯を抜いたことがあるか?」「適切に暖房で部屋を暖められないことがあるか?」「冷房で十分に部屋を冷やせないことがあるか?」「福祉・地域団体に助けを求めたことはあるか?」「友人や家族からお金を借りる必要に迫られたことがあったか?」「規定の教科書を買えなかったことがあるか?」といった質問の全てで、ベッドを共有する留学生が「はい」と回答する割合が大幅に高いことがうかがえます。
研究チームによると、ベッドを共有する留学生のうち10%ほどが8つの質問全てに「はい」と回答し、34%が5つ以上に「はい」と回答したとのこと。
一方、5つ以上の質問に「はい」と答えたベッドを共有していない留学生の割合は9%に過ぎず、8つの質問全てに「はい」と答えたのは1%未満でした。
この点からも、ベッドを共有する留学生は強い経済的ストレスにさらされていることがわかっているとのことです。”(出典:GiGAZINE via livedoor NEWS)