アンソニー・アルバニージー政権1カ月。気候変動対策に力、中国と対話再開
” オーストラリアのアルバニージー労働党政権が発足して1カ月を迎えた。
新政権は、気候変動対策や、中国の影響力が強まる近隣の南太平洋の島しょ国との関係強化をアピールする一方、関係が冷え込んでいた中国と約2年半ぶりの閣僚級会合を実現。
前政権との違いを押し出し、順調な滑り出しをみせている。 豪選挙管理委員会の集計結果によると、労働党政権は下院(定数151)の過半数となる77議席を得て、単独過半数を占める。
下院と同時に約半数の改選が行われた上院(同76)では緑の党と合わせて半数に達する。
今回の選挙では、気候変動対策に力を入れる緑の党や独立系候補が多く当選した。
新政権は、選挙結果が世論を反映しているととらえ、積極的な気候変動対策への転換を強調する。
16日には、2030年までに温室効果ガスを05年比で43%削減する目標を正式に発表した。
自由党と国民党が連立したモリソン前政権は、化石燃料業界とつながりが深いことなどから、目標を同比26~28%削減としていた。
アルバニージー氏は記者会見で、「過去約10年間の連立政権による対応の遅れと不作為が顕著に分かるエネルギー市場を変える」と力を込めた。
気候変動に対する本気度は南太平洋の島しょ国との外交関係に連動する。気候変動による海面上昇などによって大きな影響を受ける島しょ国は、モリソン前政権が気候変動対策に消極的であることに不満を募らせてきた。
さらにモリソン氏は、豪、ニュージーランドや太平洋の島しょ国など18カ国・地域で作る地域協力機構「太平洋諸島フォーラム(PIF)」のオンライン会議中に食事をしたり、島しょ国を「(豪州の)裏庭だ」と発言したりして、島しょ国側の反感を買ってきた。
専門家からは「モリソン氏の態度が、中国につけいる隙(すき)を与えている」との指摘も上がっていた。
新政権は5月23日の発足直後、ペニー・ウォング外相が初の単独外遊先としてフィジーなどの島しょ国を訪問。
中国の王毅国務委員兼外相の同地域の歴訪と時期が重なる中、ウォング氏はツイッターで「太平洋の家族」との表現を用い「豪州は耳を傾け、あなたがたと肩を並べている」と述べ、中国をけん制した。
豪中関係は、新型コロナウイルスの発生源の調査を巡って急速に冷え込み、首脳・閣僚級の対話は19年11月以降、行われてこなかった。
アルバニージー氏は、就任直後に東京で開かれた日米印との枠組み「クアッド」の首脳会議で連携を確認するなど、対中姿勢の足場を固める。
一方で6月にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議の期間中に豪中国防相会談を実施し、中国との対話を再開。
マールス豪国防相は「豪中関係は複雑で、複雑であるが故に、今対話が必要だ」として「重要な第一歩だ」と説明した。
地元メディアは「外交凍結に終止符が打たれた」などと報じている。 豪メディア・ガーディアンと民間の調査会社が選挙後に実施した世論調査によると、アルバニージー氏の支持率は59%、不支持は18%だった。選挙直前のアルバーニー氏の支持は42%で、大きく上昇した。”(出典:毎日新聞 via Yahoo! JAPAN)
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