時代を動かす、「0から1へ」の原点
恐らく今、ビジネス書カテゴリーで話題の書、ピーター・ティール著『ゼロ・トゥ・ワン』を読了。
恐らく今、ビジネス書カテゴリーで話題の書、ピーター・ティール著『ゼロ・トゥ・ワン』を読了。
今週、ラーニングエッジ社の清水康一朗社長の『起業家・経営者に必要な「7つの力」』と題されたウェビナーがあり、内容への興味から2時間弱視聴しました。
来月開催される秋のセミナーズフェスタのプロモーションで企画されたもの。
まず、清水社長が振り返って、上手くいっている経営者と上手く行かない経営者に明確な傾向があるとして、上手くいっている経営者は・・
1. 自分だけでやらない:仲間とやる、人と会って相談する、コミュニティに参加する
2. 学び続けている:本だけでなく、先人から学び続けている。解決すると次のステップに行けるようになる。
3. 7つの力を身に付けている
7つの力とは「富と衰退を分ける7つの力」とされ、下記のように整理される。
1. ビジョンを描く力
2. ストーリーの力
3. マーケティングの力
4. チームをつくる力
5. 富を生み出す力
6. 逆境を乗り越える力
7. 時代を超える力
主な内容について言及すると「ヴィジョン」を描く力は、多くの人が前に進めないのは「ヴィジョン」がないため。
自分の中から涌き上がってくる思いに従って、まず(自分の)「ヴィジョン」を描く事。=人から聞いた事だけでは、人は動かない。
その「ヴィジョン」が「ストーリー」になっていると、人が付いて来たり、共感を生む源泉となる。
人は潜在的に物語の主人公、登場人物になりたと思っており、常に「ストーリー」を探している。
具体的には自分の未来が10年後、20年後と、どのようにしたいか、何をしているか、10年毎に何が出来たら良いかを紙に書き出す。
事業とは、それらを体現したもの。自分の未来を描く事で、価値観が明確になる。
ヴィジョン、ストーリーが元になり、7つの中でも重要度の高い、「マーケティング」の力を働かせる事になる。
また、どのような企業、故松下幸之助さん創業のナショナル社しかり、時代を牽引するApple社しかり、
「逆境」に直面しない企業はないとして、やるべき事をしっかりやって、やってはいけない事をやらないようにする。
「逆境」とは、潜在的な問題を気付かせる機会となる。「逆境」に直面して鍵を見付けて、鍵穴に鍵を差して扉を開けていく。
ウェビナーの後半では来たるセミナーズフェスタに登壇するカリスマ・コンサルタントのトム・ピーターズの映像の紹介もあり、
「ビジネスの成功に関して3つのHを理解すれば、それ以外は必要ありません」と題された1分程度のコンテンツ。
3つのHとは、スターバックス社のハワード・シュルツ社長、世界的ホテルチェーンのヒルトン、アメリカの格安航空会社サウスウェスト社の共同創業者の一人ハーブ・ケレハーの頭文字を取って表されたもの。
3つのHから抽出されたエッセンスが
Stay In Touch : 連絡を絶やさないこと
Sweat The Details : 細かいことを気にすること
It’s Always The People! : 常に人が全てだということ
の3点に修練される。
といったところが、振り返っての個人の学び。特に、ヴィジョンとストーリーですね。
ストーリーの重要性は、先日紹介させて頂きました神田昌典さんと清水社長の対談動画でも主たる内容を成すものでしたが
>> 神田昌典さんが言い切る「全員成功するんです。成功しない理由が無いですね。」の時代背景 <<
改めて個人の物語、「ストーリー」の重要性が問われている時代だと再認識する機会となりました。
書店で見掛けて「良さそうだな」・・ 次いで、電子書籍版での発行を確認して・・ 仲間内の評価を確認して、かなり楽しみな感じで購入。
現在、3分の1程度まで来ましたが、案の定な感じでマーキング箇所がもりだくさん ^=^
『ビジネスモデルの教科書』を読了。
>> 今枝昌宏さんがビジネスモデルを網羅的に紹介してくれる1冊:『ビジネスモデルの教科書』中間記 <<
後半の目次立ては・・
#15 敵の収益源の破壊
#16 チャネル関係性の利用
#17 ダイレクト
#18 サプライチェーン種別の変更
#19 機能外販
#20 リソース先制
#21 マクドナルド化
#22 提携先のレバレッジ
#23 強者連合
#24 資源再配分の加速
#25 同業との統合
#26 周辺産業との統合
#27 ブランド買収・再生
#28 川下への進出
#29 川上統合によるブラックボックス化
#30 中立性・専属性のマネジメント
#31 レバレッジバイアウト
最後の「レバレッジバイアウト」は、世間を賑わせたライブドアがニッポン放送に仕掛けようとした買収劇に登場したオプションで
「あれかー」って感じ、こういう事案になると本を読む感じが前のめりになりますね。
因みに、ソフトバンクがボーダフォンを買収した時に使われた手法で、機能した好例として紹介されています。
面白かったのは、やはり身近のところからの引用で「マクドナルド化」(69% : 百分率は紙の本で言うところのページ数に相当/以下同様)。
マクドナルドの他、天丼てんや、ブックオフ、ガリバーインターナショナルで用いられており、定義は・・
” 提供価値をプロセス化あるいは機械化し、リソース単価を切り下げて低価格化することで下層の市場を狙う” (69%)
説明で・・
” マクドナル化とは、主にサービス業において提供価値の種類の絞り込み、均質化した上で価値提供プロセスをマニュアルなどによって定義し、
価値提供過程にプロフェッショナルを不用とすることによって要因単価を下げ、かつ提供価値のバラつきをなくして、従来のプロフェッショナルによるのと同等なサービスを安価かつ大量に販売して利益を上げるビジネスモデルです。”
浸透している業界は、様々な飲食業態のほか、航空旅客運送におけるLCC(ローコストキャリア)や中古車買取サービスなど。
市場戦略は・・
” マクドナルド化によるコストダウンにより、サービスを安価で販売できるようになり、通常利益率も抑えて販売するため低価格の販売となります。
マクドナルド化では、いままでプロフェッショナルを用いて行なっていた事業の市場の下側の潜在市場を狙うことになりますが、
通常、市場は下方に向かって加速度的に大きくなっているため、低価格化により大きな販売量を見込めます。
このため、低粗利でも売上が大きくなるので、最終的には大きな利益を上げることが可能なのです。
中間層の崩壊により顧客の二層化が進む今後は、これは特に注目すべき市場の特徴と言えます。” (70%)
” マクドナルドやワタミなどサービス業として大企業となり得ているのは、、利益率が低くてもマクドナルド化により下側の大きな市場を狙った企業であることに注意していただきたいと思います。” (72%)
一時、隆盛を極めた感のマクドナルドも昨今は苦境に長く直面して抜け出せないので、舞台裏を知って、如何に脱却を図っていくのか、本書の他の項目を参照するなど応用的な読み方も出来ますね。
以上のような記載が、戦略毎に
■概要と例
■価値創造過程
■なぜ優位性を維持出来るのか?
■有効に機能する条件
■落とし穴
■類似のビジネスモデル
■このビジネスモデルから学ぶ戦略思考
と、多面的に解説されています。
約600ページに及び読み応えで、最後、ビジネスモデルについて網羅した感覚を抱きますが、巻末にある「おわりに」では・・
” 本書では代表的な成功パターンをご紹介してきたつもりですが、「他にもこんなパターンがある」「こんな面白いビジネスモデルがある」という情報がありましたら、是非筆者にご連絡ください。” (98%)
とあり(笑)その奥深さ、時間の経過と共にモデルが進化している側面もあると思いますが、あくまでも本書は入り口に過ぎないと。
本のタイトルにもあるように、ビジネスモデルの教科書としての使い方が出来るのと、
何となく頭で分かっている事を、その背景にまで踏み込んで言語化してスッキリさせてくれる、
この二つの大きな役割に、本書の価値を感じました。
『ビジネスモデルの教科書』を読み始めて、半分くらいのところまできたので、中途での振り返り。
冒頭「はじめに」に、本書の目的との記載があり
” 読者に経営戦略を策定する能力を策定する能力やセンスを高めていただくことにあります。”
” 「誰に」「何を」売るのかという顧客と提供価値の選択だけでなく、戦略を支える経営資源や使い方などの仕組みを包括した「ビジネスモデル」に注目します。
というのも、強い戦略があればビジネスで成功するというわけではないからです。その戦略を支える仕組みも含めて事業体として強いビジネスが成功するのであり、
ビジネスモデルが理解出来ていないと、競合の狙いや強みも理解できないからです。” (1%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)
以前、戦略に関する本(『「戦略」大全』)を読み
>> マックス・マキューンが『戦略大全』が誘(いざな)う、人生に戦略を <<
>> マックス・マキューンが放つ「戦略」の世界は 24の戦略原則 に 28の戦略ツールキット:『「戦略」大全』読了 <<
戦略が網羅された感の内容に読み応えを感じましたが、
本書で感じた事も世の中にどのようなビジネスモデルが存在して、どの企業で、どのような意図で採用されたが明瞭である事。
今まで読んだところの「ビジネスモデル」は・・
#01 地域ドミナント
#02 クリームスキミング
#03 特定市場の支配
#04 グルーバル化
#05 顧客ライフマネジメント
#06 顧客の購買代理
#07 プラットフォーム
#08 ソリューション
#09 同質化
#10 アンバンドリング
#11 デファクトスタンダード
#12 ブルーオーシャン
#13 レーザーブレード
#14 フリー
とこのような。目次で確認すると、更に17で計31のビジネスモデルが紹介されています。
例えば「グローバル化」について、人口減少局面を迎えた日本市場から成長が見込める海外市場で事業拡大を狙う程度の事は、一般的に説明出来る事と思いますが
本書での紹介のされ方は・・
” トヨタ自動車、スズキ、コマツ、パナソニック、日立建機、エースコック、他 ” (20%)
で、採用されているビジネスモデルで
上記の表現は
” グローバル化とは、現在の日本国内における提供価値(製品・サービス)を海外、特に新興国において提供・販売し、
それと並行してビジネスシステムをグローバルに最適配置するビジネスモデルです。
先進国においては人口が伸びず、多くの産業でプロダクトライフサイクルの後半の停滞を経験する一方、
新興国では所得の上昇とともに市場が形成され、成長が始まっています。
そのため、日本など先進国における強みを新興国に移植して売上を増加させ、継続的な成長を目指します。
また、規模を達成し、業務活動や経営資源などのビジネスシステムをグローバルで最適配置する結果、
会社全体として有利な費用構造を持てるようになり、世界市場における競争力を維持・強化できます。”
と見事に表面的な事から背景まで見事に言語化。また、背景については・・
” グローバル化の前提となる環境側の要因は、主に2つあります。
1つ目の要因は先進国での市場形成の終焉と成長の始まりです。この市場の地理的な歪みを捉え、自社も新興国に拡大しないと成長ができなくなってしまうのです。
もう1つの要因は、国境という今まで市場を隔てていた境界の消滅です。従来国境が企業がのビジネスシステムを分断する界面として機能していたものが、
通信や物流、関税障壁の撤廃によって境界としての役割を果たさなくなり、グローバルで意味のある規模を達成し機能を最適配置しないと、これを達成した企業に敗れてしまうのです。” (21%)
とグローバル化を強いられる時代的背景などからも切り込まれ、重層的理解を手助けしてくれます。
本では更に
” 競合がグローバル市場において自社に先がけてシェアを確立してしまうと後発的にグローバル化しにくくなり、
その結果グローバル最適のビジネスシステムを作り上げられず、結果的に敗退することになります。
したがって、グローバル化は多くの企業にとって成長機会であるだけではなく、待ったなしで取り組むべき防衛策でもあるのです。” (21%)
等の深い分析が成されていますが、本書の価値はビジネスモデルが導入例と共に網羅的に紹介されているところですね。
電子書籍、タイトルも充実していて、だいぶ扱いに慣れて来た感じも今回の本は横書き。
キー・センテンスにぴったりにラインを引こうとすると、しばし難儀。これも慣れでしょうかな・・
田原総一朗さんの『起業のリアル』を読み始め、半分あたりのところまで。
ジャーナリスト田原総一朗さんと若手起業家の対談集。登場する起業家は田原さんが定義する「ポスト・ホリエモン」と称する堀江貴文さんの後の世代で
” おとなたちを挑発するような荒々しさはない。乱暴な言葉遣いはしないし、物腰もやわらかだ。
また堀江の時代の起業家は、いきなり自分で会社をつくってベンチャービジネスをやった。一方、ポスト・ホリエモン世代は、まず企業に就職する。
その会社で一生を終えようと考えているわけではない。サラリーマンをしているあいだにビジネスのノウハウや生きるための知恵を身につけ、そのうえで独立して事業を起こす。じつに堅実だ。” (1%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)
と分析。また
” ROE(株主資本利益率)よりソーシャルインパクトを重視していることも、ポスト・ホリエモン世代の特徴だ。彼らは自分が儲けることより、新しい事業で社会を変えることに喜びを見出しているという。” (1%)
近年の起業家の傾向が異なってきている点を指摘。本の前半に登場する起業家は
LINE 森川社長 // スタートトゥデイ 前澤社長 // チームラボ代表 猪子代表 // ユーグレナ 出雲社長 // フローレンス 駒崎代表 // マザーハウス 山口社長 // e-エデュケーション 税所代表 // ライフネット 岩瀬社長
以下、個人で刺さりのあった箇所から引用すると・・
LINE は、主としてスマートフォンでスタンプ等を使いコミュニケーションを取るものとして爆発的に人気を博しているアプリ。
” 商品開発には二つの方向があります。一つはグーグルさんのように、人が欲しがるのかわからないけど、エンジニアがおもしろがってつくったものをとにかく世に出して、その中で当たったものをビジネス化していくやり方。
もう一つはアップルさんのように、人が求めるものを突き詰めて考えて、一個に絞り出すやり方です。” (4%)
LINE創業の背景・・
” 水のようなサービスをつくりたかったのです。水って要らない人がいないですよね。スマホにおける水は、コミュニケーションです。その分野でトップになろうと試行錯誤しているうちに生まれたのがLINEでした。” (5%)
興味深いのは、同社で・・
” 会議も仕様書も、事業計画もない。”
という実態。厳密には事業計画はあるそうですが、
” 計画があると、つくり手は計画通りやろうとします。たとえば三ヵ月の計画が二ヵ月でできたら、もうちょっと何かやろうという話しになるし、
逆に本当はもっとかかりそうだったら、何か削ってしまおうとしてしまう。でも、それはユーザーにとって無意味なこと。
一番大事なものはいいものを早く出すことなので、つくり手もそれに集中してもらったほうがいいですよね。” (6%)
同社の隆盛は・・
” 結果的に収益が出たというところ ” (6%)
だそうで、
” とにかくシンプルに、ユーザーが求めるものをつくり続けるだけです。” (7%)
田原さんが、森川社長との対談を終え・・
” 「企業が収益化を考えると、ユーザーはそれに気づいて離れていく。だからいま(LINE社は)広告はやっていない」と言う。
こうした姿勢がユーザーを惹きつけ、結果的に収益の増大につながっている。儲けようとしないほうが、かえって儲かる。それがいまのビジネスのトレンドなのだろう。” (8%)
と総括。多くの方が独自性を感じる経営スタイルと思いますが、結果が出ているだけに、新しい経営の在り様となるかもしれないですね。
その中でもユーザー目線、スピード重視は特徴的です。
因みに、同社の収益は
” ゲームやスタンプといったコンテンツの売り上げが大きいです。” との事。(7%)
スタートトゥデイ(日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営)の前澤社長は・・
” 「争うのは嫌い」” (9%)
との肌感覚から
” うち(スタートトゥデイ)の基本給とボーナスは、全従業員一律。成果報酬にして、仲間同士で競い合うより、楽しく働けますから。・・中略・・
いまは、競争するより協調したほうが、「経済合理性」がある。競争によって刺激されなくても、みんなお客様にとって便利なもの、新しいものを自発的に生み出すマインドになっている気がします。」” (13%)
前澤社長の哲学は
” 僕の幸せの大部分は、人の幸せが占めています。じゃあ、どうやってまわりの従業員やスタッフ、その先のお客様や取引先、株主のを楽しませたり驚かせたりすることができるのか。
それを考えてやってきたら結果的に儲かっていたという感覚 ” (13%)
収益に目的とせず、結果的に収益が出たとの経緯は、LINEの森川社長と共通した流れですね。
因みに同社では
” 一二の五月から、九時出社で午後三時に終わる「六時間労働制」を始めました。仕事は短時間で集中して終わらせて、もっとよそで学んだり、遊んだほうがいい。” (11%)
との経営判断。「よく遊ぶが良い」との指摘は、先週、講義を受講した藤原和博さんからのメッセージと一致します。
>> 藤原和博さんが教えてくれた「それぞれ一人一人」の時代の「稼ぎ方」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その壱 <<
この他、事業規模の違いはあれども、それぞれも思いをビジネスで体現された方々の体験談、時代を視る目、経営感覚について語られていますが
共通して感じられた事は、他者に惑わされない視点、感覚。必ずしも利益追求ではない点。自然体である点など。
特に、貢献や感謝される事の重要性に重きを置かれている方が多い印象。
世代の違いもあり、価値観を異にする田原総一朗さんが、まっさらな感じで斬り込む感じが、読者の立場と近く、感情を共有しやすい仕上がりとなっています。
『外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術』を読了。とあるご縁から巡り会った1冊。
著者の川井隆史さんはアーサー・アンダーセン(現あずさ監査法人)、日本コカ・コーラ、GE(ジェネラル・エレクトリック)という名立たる外資系で、財務、経営企画関連のディレクターとしてキャリアを築かれた後に独立。
本では、主として外資系で培われた仕事術について紹介。
新卒時は、国民金融公庫に入社されたもののロバート・B・ライシュの『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』を読まれ・・
” 問題発見、解決能力のある知識労働者のみがホワイトカラーとして存在し、残りは対人サービス労働者とルーティーン生産労働者のみである。ここでは、以前の中間層であった普通のサラリーマンという層は消滅している。” (prologue)
との著者(ロバート・B・ライシュ)の予言に危機感を抱き、「すぐに成長したい」との思いから一念発起して1年間の勉強生活を経て、公認会計士の資格を取得し、上記の外資系でキャリアを積む経歴に至った。
ご経歴の中で実績を残せたのは、「シンプルだけど大切な仕事についての心構え」を持っていたからだとして、それが下記の3点。
1. すぐに動け
2. 期限は死んでも守れ
3. 言われたことだけやるな
(prologue)
これらは、外資系企業の「できる人」に共通するものであったそうで、日本人が苦手とする順番に並べられたもの。
外資系企業では短期間で社員の優劣を判断するため、この3点が判断基準となり、これが身に付いている人の成長は早く、自然と上司に目をかけられるようになる。
また、この3点に加えて、「優秀であろうとする誇り」も大切で、くり返しアーサー・アンダーセン時代に役員から言われた言葉に
” 世界一のの会計事務所に入社した君たちは優秀なのだ。人より優れていて当たり前であり、それを維持し高めるためにも、つねに努力しなければならない ” (prologue)
特に留意しなければならないのは、「つねに努力しなければならない」の部分。つまり、優秀であり続けるためには、自分で自分にプレッシャーをかけないと生き残れない世界。
その過酷さについては、本の中で度々エピソードとして紹介されていますが、自分が一番印象に残った事例は下記。
” アーサー・アンダーセンは新卒を多く採用する会社だった。しかし、新卒だからゆっくり育てるということはない。2週間程度の研修が終われば徹底的にプロフェッショナルとして扱う。
アーサー・アンダーセンでは顧客に対する監査やコンサルティングを「アサインメント」と呼んだ。アサインメントに入る時点で、過去の資料はすべて読み込んであり、専門用語も理解できていて当たり前だと考えられている。
たとえあなたが就職や転職して初めて顧客のところに行く、つまり人生最初のアサインメントであっても、顧客の前ではまるで「僕はすべて理解しています、あなたがたのすべてを知っています」という顔をしなくてはならない。
私(著者)は、それを甘く見ていた。入社して初めての案件は外資系銀行会計監査案件だった。先輩に「読んでおけよ」と渡されたのは前年の資料と、監査マニュアル。
あまりに分厚くすべて英語で、まさか全ページ読む必要はないだろうと思い、きちんと読み込まなかったのだ。
そして仕事が始まると、耳を疑った。日本語で話しているのにもかかわらず、特有の専門用語が多くて内容がまったくわからないのだ。(中略)
まごまごしていると、上司やお客様にはあきらめた顔をされた。上司にはけちょんけちょんに叱られ、「もう帰っていい」と言われた。” (P24-25)
と、1年で国内最難関資格の公認会計士試験に合格してしまう力量の持ち主ながら、生半可な心掛けでは生き残れない熾烈さが感じられる事例の紹介が本の冒頭にあり、
読み物としての面白さはあるものの、我が身を重ね身を引き締められる部分も感じさせられます。
方や著者が事例から学ばれ、外資系企業の中で頭角を現していく術も生々しく複数綴られています。
印象に残ったところでは・・
1. ” すぐに成長する人は、何か大きなミスを犯したり、トラブルに巻き込まれたとき、「悩むより考える」タイプの人が多い。” (P39)
2. ” 仕事を始めるときには最初にボトルネックを把握しろ : ボトルネックとは、仕事の進行の妨げとなるもののことだ。事前にボトルネックになるものは把握し、しかるべき手を打っておくのが、すぐ成長する人には欠かせない姿勢である。(中略)
仕事自体はがんばっているのに何だかうまくいかない「残念な人」は、このボトルネックの把握ができていないことが多い。さる仕事やプロジェクトを担当するさい、何がボトルネックになるのか事前によく考えてみてほしい。” (P56)
3. ” あなたは、自分が日々使うお金を「投資」「コスト」「ロス」に分けて考えているだろうか。
「投資」はお金を使った影響がその時点で終わらないもの(中略)
「コスト」は、その場でしか効果が得られないもの(中略)
「ロス」は、お金や時間を費やしたのに、その場でも効果がないものを言う。” (P158)
等の共通した傾向にみられる指摘。
その他、様々、外資系に限らず、会社の中で結果を出すための心構え、スキルについて著者の経験に基づいた紹介がなされていますが
読まれた人それぞれにとって、目に留る記述が異なってくると思い、そこに成長のヒントが隠されているものと思います。
必ずしも本を読んで実践して即結果に反映されてくるものではないですが、
” あなたも、それがどんなことであれ、目の前にある仕事をきっちりまじめにやることは必ず将来プラスになるはずである。” (P168)
” 自分(著者)の例で恐縮だが、アーサー・アンダーセンに入社してから約10年で年収は約4倍になった。きちんとキャリアを積めば倍々ゲームなのである。何より本当にやりたい仕事ができるようになるのだ。
どうか心からの「やりたい」を積み重ねて、理想のキャリアを築いてほしい。” (P172)
と正しい心掛け、取り組みによって、得られる結果、評価が違ってくるとの著者からのメッセージもあり、特に組織の中で結果を求められている方々にとっては、ブレイクスルーのきっかけを掴める一冊となるかもしれません。
鮒谷周史さんから日刊で配信されるメールマガジン『平成進化論』(2014年8月30日号)から。
タイトルは「とっとと始めて「側坐核」を刺激」。
” 多くの人にとって、たいていのことは、「やり始めてから、完成させるまでにかかる時間」よりも
「やろうと思いつつ、取り掛かるまでの時間」のほうが、圧倒的に長いもの。
取り掛かりさえすれば、案外すぐに終わるのに、先送りするから、それが心の負担となって、更に先送り、更に先送り、を繰り返し、
結局、上に記したように「やり始めてから、完成させるまでにかかる時間」よりも
「やろうと思いつつ、取り掛かるまでの時間」のほうが、はるかに長くなるのです。”
” このことが、真に理解できれば、「とにかく何でもいいから、まず手につけなければ始まらない」と思えるようになります。
たとえば、掃除などはまさにその、典型的な例といっていいでしょう。
手をつけるまでは大変だけれども、やり始めたら、何時間も掃除をし続けてしまった、という経験はどんな人にもあるでしょう。”
ここまでは良く耳にする誰しも経験している話しですが、それにはワケがあって・・
” なんでも、人間の脳には「側坐核(そくざかく)」という部位があり、
「実際に行動することによってスイッチが入り、さらにやる気をかきたてる」という役割を果たしてくれているそうです。”
こうして、やる気がかきたてられた状態を「作業興奮」と言うらしいですが、毎日の生活を「作業興奮漬け(!?)」にするためにも、
考え込む暇があったら、とにかく、体を動かし、取り掛かってみる習慣を作ることです。”
これによって、本当に(信じられないくらい)軽やかに体が動くようになってくるものです。”
以上に述べたような理由から「とっとと始める」という行動習慣は、人生をよりよい方向に変化させていくのに極めて有効です。”
誰しも経験のある事が、しっかり脳科学の分野で説明されるという学び。
これから「側坐核」なる部位を自覚する事で、原因と結果の法則を理解しやすくなりますね。